人手不足の実状
(1)人手不足による倒産の増加
帝国データバンクによると、求人難などを原因とした人手不足倒産は、2025年4月~12月の途中経過で324件となり、年率換算では432件と、2023年から3年連続で過去最多ペースを更新しています〔図表1〕。
2024年度の業種別では、建設業が全体の約3割超で最多となり、次いで物流業が12%を占めています。いずれも、2024年4月に時間外労働の上限規制が適用された「2024年問題」の影響を受けた業種です。また、2024年度の要因別では、求人難、人件費高騰、従業員の退職の順で多くなっています〔図表2-1、2-2〕。
〔図表1〕人手不足倒産(法的整理、負債1,000万円以上)件数の推移
〔図表2-1〕業種別構成(2024年度)
〔図表2-2〕要因別構成(2024年度)
人手不足倒産の要因別では、「人件費の高騰」を挙げる企業が36%を占めています。一方で、価格転嫁率の推移〔図表3〕をみると、物流は、全業種平均と比べて10ポイント以上低く推移しており(2025年7月時点)、人件費に加えてエネルギーなどのコスト上昇に直面しながらも、それを十分に運賃へ転嫁できていない厳しい経営環境にあることがうかがえます。
そこで、春闘での定期昇給込みの賃上げ状況をみると〔図表4〕、2025年は労組全体で5.25%、中小労組で4.65%と、ともに前年を上回る賃上げ率となりました。また、最低賃金の額は、2025年に1,121円と過去最高水準を更新するとともに、その上昇率でも2021年以降は春闘での賃上げ率以上の高い実績となりました。
つまり、政府が掲げる「物価上昇を上回る賃上げの実現」という方針に対し、多くの企業は概ね応えている状況にありますが、この要請に対応できない一部の企業は、市場から退出を余儀なくされているともいえます。
〔図表3〕価格転嫁率の推移
〔図表4〕賃上げ状況(春闘での最終回答結果)と最低賃金額・上昇率の推移
※最低賃金:地域別の全国加重平均額、年度





