「人を泥棒みたいに言わないでよ!」
相澤美奈と村井千鶴、小林なつみは、吉田加奈子に悟られないように、PTAの帳簿をもう一度調べてみた。すると、やはりベルマークの払い戻し金は計上されていなかった。
また、ベルマークの払い戻し金の10年間の合計額が5万7421円にのぼることをつきとめたので、資料を揃え、吉田加奈子につきつけた。
ファミレスに呼び出された吉田加奈子は、不機嫌そうに三人を睨んだ。ただ三人は気にせず、冷静に、淡々と、事実を告げていった。
「……と、つまり、吉田さんの口座に、この5万7421円が支払われたのだったら、そのお金は返していただかないと困ります」
相澤美奈が説明を終えた途端、吉田加奈子は大声をあげ、目の前のテーブルを叩いた。
「言いがかりはやめて、人を泥棒みたいに言わないでよ! 本当、バカにしてるよ!」
「じゃあ、このお金はどうなったんですか?」
「それは、PTAの活動に使ったの」
「え?」
「PTAの会合のたびに、みんなで打ち上げしてたでしょう」
「ええ」
「あの費用って、毎回ちょっとずつ足りないの。大体、月に1000円くらいは私が自腹を切って埋めていたわけ。だから、ベルマークのお金は、その穴埋めとしていただいたのよ」
「え? でも、そんなこと、誰も聞いてませんけど……」
「聞いてなくても、事実そうなので」
「いやいや、そういうワケにはいきませんよ」
村井千鶴が呆れた顔で言った。
「でも、本当なの。だから私が懐に入れたとか、そういう言い方は絶対やめて!」
吉田加奈子は大声でそう言うと、一方的に話を打ち切り、ファミレスを出ていってしまった。
