年金生活に入った親と現役世代の子との関係

次に考える親子関係は、「社会人となっている年齢の子と、年金生活に入った親」という構図です。

こちらの場合、それぞれ成人となっているので、お金の話をあまりしないことがあります。一方で、75歳前後になってくると、体調の悪化や認知症の症状が現れてくるなど、子が親のお金の管理をせざるを得ないこともあります。

まったく分からない状態から、いきなりお金の管理を引き継ぐことは大変です。本人の意思を確認できないまま、相続となるのも好ましくありません。

年金生活をされている両親とお金の話をしておくことをおすすめします。「年金と退職金でやりくりできているの?」「大丈夫、心配するな。思ったよりうまくやれているよ」という会話がひとつあるだけでも、お互いに安心感があるものです。

親がもし資産状況に余裕があるようなら、孫への教育資金を少し負担してもらうような相談も、腹を割ってしてみたいところです。親の方も案外、子どもから頼られるのを待っているかもしれません(読者がもし、年金生活をされている親の立場でしたら、親の方から水を向けてみてください。子どもの方は言い出しにくくて困っているかもしれません)。

できる限り避けたいのは、年金生活をしている親がやりくりに苦労していて、これを子育て(老親からすれば孫育て)中の子が経済的に支える状況です。これをやると子の方が経済的に苦しい状況になります。年金生活者が借金をするのもよくない状況です。

こうした場合は、第三者を介し問題解決を図ることも選択肢となります。FP等のマネー相談を活用し、年金と自身の資産の範囲内で暮らせるように、家計をコントロールさせられれば、老後破産の恐怖から老親・子ともに解消されます。

最近はエンディングノートを作ることへの抵抗感が下がってきました。「葬式のとき、誰に連絡すればいい? 音楽は何をかけたい?」のような話を軽くするところから、お金の話につなげてみるのもいいでしょう。

親と子、お互いにもう少しだけお金の話をしよう

お金の問題は「スッキリしていない」「もやもやしている」というのが一番よくないことです。ファイナンシャル・ウェルビーイングの観点でも、私たちの幸福度を下げる要素として現在および将来のお金の不安があげられます。

未成年の子どもがぼんやりとお金の不安を感じていることは、本来獲得するべき幸せの手前に余計な壁を作ってしまうことになります。

成人の子が自分のお金の問題以外に、老親のお金の不安を感じながら過ごすのもやはり、幸福度を追求するための壁です。

しかしこうした壁はコミュニケーションで簡単に解消しうる「薄い壁」だと思います。だとしたら、親子でお金の話をもう少ししてみましょう。

お互いに安心を共有できれば、日々の経験や感動から得られるウェルビーイングの体感も増してくるかもしれませんね。