本格成長は28年度か、大型投資の回収が期待

では、大同特殊鋼の成長はいつ本格化するのでしょうか。投資計画から見ると、利益は29年3月期以降に上向くことが期待されます。

大同特殊鋼は生産能力の増強に向け、25年3月期から累計680億円の投資を進行中です。投資効果は営業利益ベースで31年3月期に260億円の発現を見込みますが、主な投資は28年3月期に完了する計画であり、29年3月期には投資効果が投資額を上回る計画となっています。

大同特殊鋼の戦略投資の計画(2025年3月期~2031年3月期)
 
出所:大同特殊鋼 中期経営計画資料より著者作成
 

特に注目の投資が「高合金プロセス改革プロジェクト」です。高合金は添加元素の比率を高めた機能材で、成長市場に位置付ける航空機やオイル・ガス掘削、半導体製造装置で需要が期待されます。23年から始動する大型の計画で、累計360億円規模を振り向ける方針です。

高合金プロセス改革プロジェクトは、マザー工場である渋川工場に大型設備を導入し、航空機エンジン部品向けに製造可能寸法の大型化を図ります。同時にその他の工場との連携を強め、高合金の製造能力を拡大します。

大同特殊鋼は、自動車といった外部環境の悪化を主因に苦戦している状況です。しかし、苦しいなかでも投資を実行しており、今後は設備投資の効果が立ち上がってくることが期待されます。需要が回復してくれば、成長は想定より早まるかもしれません。