つみたて投資枠と成長投資枠

新NISAのもう1つの大きな変更点は、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になったことである。従来は、つみたてNISAと一般NISAのどちらか一方を選択する必要があった。しかし新制度では、つみたて投資枠で積立投資を継続しながら、同時に成長投資枠で個別株式などに投資することも可能になった。

1年間の投資上限額(年間投資枠)も大幅に拡大された。つみたて投資枠は年間120万円で、これは従来のつみたてNISAの3倍にあたる。成長投資枠は年間240万円で、従来の一般NISAの2倍である。両枠を併用すれば、合計で年間360万円まで投資できる計算になる(iDeCoの年間上限は24万円~81.6万円*、上限額は2026年12月に改正予定。 *…職業等により異なる)。

投資可能な商品にも枠ごとに違いがある。つみたて投資枠では、金融庁の基準を満たした投資信託に限定されている。これは長期の積立投資や分散投資に適した商品として選定されたものだ。一方、成長投資枠では個別株式や投資信託、ETF(上場投資信託)など、より幅広い金融商品が対象となる。

なお、iDeCoでは個別株式に投資することはできず、投資信託・保険・定期預金に積立が可能だ(取扱商品は金融機関ごとに異なる)。ただし、「株式が投資対象の投資信託」を購入すれば間接的な株式投資が可能であることは覚えておこう。

生涯「1800万円」非課税保有限度額の新設

新NISAでは、生涯を通じての非課税保有限度額が新たに設けられた。総枠として1800万円が上限となり、そのうち成長投資枠は1200万円が上限となる。この限度額は簿価、つまり購入時の金額をもとに計算される点に注意が必要だ。

特筆すべき点は、この非課税保有限度額が再利用可能になった点である。保有している商品を売却した場合、翌年以降、売却した商品の簿価分だけ非課税投資枠が復活する。たとえば、100万円で購入した商品を売却すれば、保有時の時価が80万円であっても120万円であっても、翌年には100万円分の枠が復活する仕組みだ。これにより、投資戦略の柔軟性が高まった。

新NISA口座を開設できるのは、日本国内に住んでいる18歳以上の方である。口座は1人につき1口座のみ開設可能で、金融機関の変更は年単位で行える。開設には本人確認書類とマイナンバー確認書類が必要となり、税務署で二重口座でないことが確認される。金融機関によって取扱商品等が異なるため、自身の投資方針に合った金融機関を選ぶことが重要だ。

●新NISA解説を中心にiDeCoとの違いを解説した。iDeCoについては後編『毎月いくらから始められる?併用は可能?iDeCoと新NISA、2つの「税制優遇制度」の違い【iDeCo編】』にて詳説する。