「個人向け国債」の人気上昇も注目ポイント

そしてもうひとつ、注目したい数字が「債務証券」です。いささか難しい言葉を使っていますが、要は「債券」のことです。

債券も前年同期比では長期にわたってマイナスが続きました。2008年9月期から2018年12月期まで、42四半期のうち大半の期で前年同期比マイナスが続いた後、2019年3月期から2020年12月期までは前年同期比で3%台から6%台の増加となり、そこから223年3月期までは増減織り交ぜた動きになりましたが、2023年6月期からは期によって、2ケタの伸びを見せるケースも出てきました。

ちなみに2024年12月期が10.1%増、2025年3月期が8.8%増、2025年6月期が11.7%増、2025年9月期が10.5%増です。

このような高い伸び率の背景にあるのが、個人向け国債の人気化でしょう。資金循環統計にある「国債等の保有者内訳」によると、2025年9月期における家計部門の国債等の保有残高は18兆円で、1185兆円という全体の発行残高に占める割合は微々たるものですが、前年同期比の伸び率は、2023年12月期の6.4%増、2024年3月期の6.0%増、2024年6月期の6.8%増だったのが、2024年9月期には10.9%増となり、2025年6月期は22.1%増、2025年9月期は21.5%増というように、大幅な伸びを見せています。

個人向け国債のうち、10年変動の発行条件を見ると、2020年12月募集分の適用利率は、下限の年0.05%でしたが、2025年12月募集分のそれは年1.23%まで上昇してきています。言うまでもなく、長期金利の水準が上昇してきているからです。

しかも10年物の個人向け国債は変動金利型であり、半年ごとに適用利率が見直されます。今後、長期金利の水準がさらに切り上がることになれば、変動金利型個人向け国債の適用利率も上昇するという期待感があり、それが人気につながっていると考えられます。