インデックス運用のその先に 投資への関心と理解を深めることで、継続力を培う
次に、資産形成の主流となったオルカンに代表されるインデックス型の金融商品を通じた資産形成と、金融リテラシーとの関係について見ていきましょう。投資初心者の資産形成として、「分散の効いた運用を低コストで行うインデックス型の投資信託を長期保有しておけばいい」といった解説はすっかり定番になりました。国民の安定した資産形成において謳われている長期・分散・積立投資を低コストで行うものです。
このわかりやすさにより投資のハードルは下がり、無関心だった層にも広く目を向けてもらえた功績は本当に大きいです。株式や債券といった伝統的な資産を対象にしたことも、極端な収益獲得を目指して、FX(為替取引)や暗号資産のような投機色の高いものに染まらない隠れた成果がありました。また、数ある金融商品から何を選んだらよいのか選択に悩む人が多い中で、インデックス運用は分散効果が効いていて、長期投資に適った手数料の低い運用としてわかりやすい選択肢を提示しました。
しかし、これだけで終わってしまうと、「資産形成は簡単で、薄っぺらいシンプルなもの」に思われかねません。ここで終わってもいいけれど、望めばもっと深く広い世界があります。投資への理解を深め、関心を持ちながら取り組んでもらう好循環がより望ましい姿です。勉強で成績が伸びる人は勉強が楽しいと言います。関心がないところに成長はないからです。
そして、理解が深まれば、資産形成にとって最も大切な「投資を継続する力」を養うことができます。そのための手段として、あえて目を背ける「ほったらかし」もありますが、一歩踏み出して投資を知ろうとすることにより、直近で経験した新型コロナ時のような投資特有の急激で大きな価格変化への理解が進み、また長期で株価が伸び悩む局面の存在も知ることができます。
長期投資によって投資対象が本質的に有している収益を得られる可能性は高まりますが、市場が過度に高い将来性を織り込んでいた場合には、期待しすぎの反動からしばらくの間、投資成果に結びつきにくいこともあります。日本の長期株価低迷は記憶にありますが、過去には日本以外でも10年近い単位で株価が伸び悩む時期もありました。
図表2 世界株式の推移
※ 日本から投資する場合の円換算の推移
図表2は長期の世界の株式市場の推移を示しています。灰色のグラフのように単純に市場の推移を示すと過去の変化が小さく示されるため、黒色のグラフは対数を用いてどの時点でもその変化率が比較できるようにしています。これをご覧になると、過去は比較的長い期間にわたり伸び悩む時期を何度も経験していますが、最近はそういったことがしばらく生じていないことがわかります。
下がった時に我慢する心構えだけでなく、長期低迷なども含めて市場特有の動きを「想定外」ではなく「想定内」としてイメージできることは強みです。それにより、「自身のライフプランに支障が生じないためには、どのような投資をすればいいのか」、「自らのリスク許容度を踏まえて資産配分や金融商品の選択を行える」ことにもつながります。
図表2は長期の世界の株式市場の推移を示しています。灰色のグラフのように単純に市場の推移を示すと過去の変化が小さく示されるため、黒色のグラフは対数を用いてどの時点でもその変化率が比較できるようにしています。これをご覧になると、過去は比較的長い期間にわたり伸び悩む時期を何度も経験していますが、最近はそういったことがしばらく生じていないことがわかります。
下がった時に我慢する心構えだけでなく、長期低迷なども含めて市場特有の動きを「想定外」ではなく「想定内」としてイメージできることは強みです。それにより、「自身のライフプランに支障が生じないためには、どのような投資をすればいいのか」、「自らのリスク許容度を踏まえて資産配分や金融商品の選択を行える」ことにもつながります。

