事務委託先金融機関が破たんしたらiDeCoの資産はどうなるのか

事務委託先金融機関はiDeCo加入者が拠出した掛金を収納し、積立金として管理している。また、運営管理機関がとりまとめた加入者の運用指図を受けて、実際に運用商品の売買を行う。資産の管理を主に行うことから、資産管理機関と呼ばれることもある。

 

また給付金の支給も事務委託先金融機関が行う。iDeCoの運営主体である国民年金基金連合会から委託を受けた信託銀行などが担っており、資産管理サービスなどに対し、加入者はiDeCo加入期間中に手数料として毎月66円を事務委託先金融機関に支払う。

資産管理を行うことから、事務委託先金融機関の破たんは一見するとiDeCoの資産に影響を与えそうに思えるが、実際は問題ない。委託を受けた信託銀行は加入者の積立金を自社の資産とは分けて管理しているからだ。これを分別管理という。そのため、仮に事務委託先金融機関が破たんしても、債権者がiDeCoの資産を処分してお金を回収することはできず、加入者の資産がなくなる心配はいらない。

ただしiDeCoの掛金を現金として引き出せるのは原則60歳以降というルールは変わらない。事務委託先金融機関が破たんしたからといって、すぐに現金で引き出せるわけではない。

商品提供機関が破たんしたらiDeCoの資産はどうなるのか

最後は商品提供機関。iDeCoの運用商品を提供する金融機関だ。前述の運営管理機関は、商品提供機関が提供する運用商品から自社のiDeCoサービスで取り扱う運用商品を選定し、加入者に提示しているわけだ。

商品提供機関も運営管理機関と同様、銀行や証券会社、生命保険会社など多くの金融機関が担っており、場合によっては兼務する場合もある。運用商品の種類ごとに代表的な会社を以下に挙げよう。

【商品提供機関の例】 

•    投資信託:SBI証券、楽天証券、大和証券、野村證券など
•    預貯金商品:三井住友信託銀行、みずほ銀行、ゆうちょ銀行など
•    保険商品:明治安田生命、損害保険ジャパンなど

商品提供機関が破たんした場合、運用商品の種類によって一定金額まで保護される(関連記事)。また先ほどの運営管理機関と同様、商品提供機関が破たんした場合も、事務委託先金融機関と同じく原則60歳になるまで資産を現金として引き出すことはできない。

金融機関が破たんした時もiDeCo等の資産は保護される

iDeCoに関わる金融機関には、運営管理機関、事務委託先金融機関、商品提供機関の3つがあり、それぞれ異なる役割を担っていることがお分かりいただけただろう。

いずれの機関が破たんした場合も、原則60歳までは資産を引き出せないというルールは変わらない。長期運用のiDeCoだからこそ、こうした保護の仕組みを理解しておくことで、安心して老後資金の積立を続けることができるだろう。

●では実際に運用している投資信託や定期預金、保険商品が、金融機関の破たんでどのように保護されるのか。後編『金融機関が破たんしたら持っている商品はどうなる?【iDeCo編】投資信託・預貯金・保険はで保護範囲が違う?』にて詳報する。