日本の投資家に必要なのは「分散」と「思考」
バフェット氏の考え方は、分かりやすく、本質的で、筋が通っている。
だからこそ、表面的に模倣するのではなく、その背景にある思考プロセスを学ぶべきだろう。
いまの日本では、「投資といえば上場株」「インデックス積立こそ王道」という単線的な投資観が強く広まりすぎてはいないだろうか。
だが実際には、金利水準、株価水準、インフレ動向などを踏まえると、上場株が常に最良の投資対象とは限らない。
債券、クレジット、不動産、インフラ、プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタル──これらも投資環境によって有効な資産クラスになりうる。
求められるのは、分散投資の視点と、投資対象の本質を自ら考える力だ。
バフェット氏は、企業の本源的価値を見極め、時代や市場環境の変化に応じて柔軟に判断してきた。彼の真髄は、単なる「割安株への長期投資」というスタイルではなく、投資対象の本質を見極める姿勢と能力にあるだろう。
私たちもまた投資において、周りに流されるのではなく、自らの視点で本質を見極める姿勢を持ちたい。
Keyaki Capital代表取締役CEO
木村 大樹氏
野村證券でオルタナティブ商品の営業に従事した後、ニューヨークで証券化ビジネスに携わり、サブプライム危機に直面しながら問題解決に努める。帰国後はバークレイズ証券を経て、2012年にシティグループ証券の年金ソリューション部長、2015年からはマッコーリー・インベストメント・マネジメント日本代表。2020年に個人に公開されていない世界中のプライベートアセットへの投資機会を、充実感と高揚感に満ちた投資体験として提供するKeyaki Capitalを創業。一橋大学経済学部卒。
