各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、野村證券のデータをもとに解説。

野村證券の投信売れ筋ランキング2025年9月のトップ3は前月と同じだった。トップに「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Dコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」、第2位が「野村インデックスファンド・日経225(愛称:Funds-i日経225)」、第3位は「eMAXIS S&P500インデックス」だった。第4位には前月の第7位から「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」がジャンプアップした。また、トップ10圏外から「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」が第7位にランクインした。

 

「グロース・オポチュニティ」の強さを確認

9月の売れ筋でトップの座を維持した「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Dコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」は、9月の分配金も7月以来3カ月連続で1万口当たり300円を実施。分配金利回りは28.25%となり、毎月決算型の中で利回り水準がトップ3のポジションにある。分配金の高さも含めて足元では「WCM世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」に注目が集まっているが、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース」も分配金も含め、トータルリターンの点でも十分に魅力的な存在であることがわかる。

実際に、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Dコース」について2023年3月の設定からの基準価額(分配金込み)の推移を「eMAXIS S&P500インデックス」と比較すると、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Dコース」が一貫してS&P500を上回る成績を残していることがわかる。「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Dコース」は、米国株のみならず世界の成長株を投資対象としているため「S&P500」がベンチマークではないのだが、同ファンドの組み入れ銘柄の約9割が米国株で占められていることから、米国を代表するインデックスと比較した。

設定日を10,000とした場合、2025年10月3日時点では「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース」は20,751となり、設定来約2年半で資産価値は2倍超になった。これに対し、S&P500インデックスファンドは95%程度であり、両者の間で明確な差ができている。「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」は、企業の3年から7年先の成長を見通して、将来の企業価値に対して割安な株価水準の銘柄に投資している。個々の企業分析を徹底して行ったうえで、確信度の高い企業に選別投資している。基本的に時価総額の大きな銘柄で構成したインデックスとは異なる値動きが期待される。特に、景気の先行きが見通しにくい市場環境となっているだけに、運用会社の企業調査力による選別投資に期待が高まる局面になっている。