金が教えてくれる積立の妙味

金は利子も配当も生まないため、投資先として敬遠される向きもあるが、2025年は株式市場がパッとしない中で存在感を放ち、積立投資の観点からも妙味を示した。

とはいえ、上記で紹介した「過去5年間のシミュレーションでは、オールカントリーよりも積立効果が大きかった」という結果は、あくまで一例にすぎない。常に金が株式を上回るわけではなく、特に金利上昇局面では逆風を受けて弱含む可能性もある。万能な資産ではないことは理解しておく必要がある。

それでも、この比較から投資家が学ぶべき本質は明確だ。積立開始当初の1~2年がパッとしなくても、簡単に諦めずに積立を続けることの大切さである。停滞局面で口数を着実に積み上げていくことが、後に大きなリターンを生む可能性につながる。

金から得た教訓は、高値で停滞中のインド株にも当てはまる

金の事例が、「停滞期も諦めずに積み立てることが将来的な成果につながる」という積立投資の本質を示しているとすると、2025年にやや冴えなかったインド株も同じ視点で捉え直すことができるのではないだろうか。

2025年のインド株は、高値圏にありながら停滞が続いた。2023~2024年の頃の成績を知っていると、「期待外れ」と映ったかもしれない。しかし、労働人口の増加、インフラの整備・拡充、国内消費市場の拡大といった構造的な追い風は健在であり、長期的な成長シナリオは崩れていない。

むしろ、2025年のような局面こそが積立投資のチャンスである。将来の果実を大きくするためには、「冴えないときほどコツコツ積み上げる」ことが重要だ。インド株は積立投資の「仕込み時」と言っても良いかもしれない。

「主役は入れ替わる」市場の本質を心にとどめる

2025年は、日本株や金が輝いた一方、米国株やオールカントリーは相対的に冴えなかった。インド株も期待先行で停滞が続いた。だが、これはあくまでも一時の表情にすぎない。来年になれば、また別の資産が主役に躍り出る可能性は十分にある。

長期投資を実践する上で投資家が心にとどめるべきは、「主役は入れ替わる」という市場の本質である。どの資産が短期的に好調か不調かに翻弄されてしまうと、本来積立投資がもたらす果実を取りこぼしてしまう。

だからこそ大切なのは、特定の資産に過度な期待も失望も抱かず、冷静に積立を続けることだ。市場の主役は変わることが常だからこそ、ポートフォリオ全体でリターンを積み上げていく視点を忘れてはならない。