各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、西日本シティ銀行のデータをもとに解説。

西日本シティ銀行の投信売れ筋ランキングの2025年8月のトップは前月に引き続き「のむラップ・ファンド(積極型)」だった。第2位には前月第4位だった「のむラップ・ファンド(普通型)」が上がった。この他では、トップ10圏外から「ニッセイ日経225インデックスファンド」が第4位にジャンプアップし、「はじめてのNISA・米国株式インデックス(S&P500)」が前月第8位から第5位になるなど、日米の主要インデックスに連動するインデックスファンドが人気化している。

パフォーマンスでトップは「225」、インデックスそれぞれの展開

西日本シティ銀行の売れ筋は、4月を底にして9月にかけて株式市場が上昇に転じた動きをストレートに反映して日米の株式インデックスファンドが人気を集めている。第4位に躍進した「ニッセイ日経225インデックスファンド」は、国内株式の代表的なインデックスである「日経平均株価」に連動する動きをめざすインデックスファンドだが、「日経平均株価」が8月12日に2024年7月14日の史上最高値(4万2224円)を約1年ぶりに更新し、勢いを得て9月18日には4万5000円台を越えるまでに上昇した動きを映して大きく上昇した。この結果として、「ニッセイ日経225インデックスファンド」の基準価額は2025年の年初来のパフォーマンスで9月19日にプラス14%の水準となり、米国「S&P500」のプラス4.77%を大きく上回る成績になっている。

また、4月の株価下落時には大きく値を下げた米国の「S&P500」は、6月27日に史上最高値を回復すると、その後は毎月史上最高値を更新し続けている。第5位に上がってきた「はじめてのNISA・米国株式インデックス(S&P500)」や第7位に上がった「iFree S&P500インデックス」、そして、トップ10圏外から第9位に食い込んだ「インデックスファンドS&P500(アメリカ株式)」と3本の「S&P500」インデックスファンドがトップ10に入っているのは、米国「S&P500」の上昇の勢いの強さにひかれて、何をおいても「S&P500」インデックスファンドに投資をしたいという投資家の強い意志を感じられる。

そして、「S&P500」が上昇している環境は、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」や「netWIN GSテクノロジー株式ファンド」の運用環境にも追い風になる。特に、「S&P500」の主軸銘柄で構成されたといってもよい「netWIN GSテクノロジー株式ファンド」は9月19日時点で年初来の上昇率が6.58%と「S&P500」インデックスファンドを上回る成績になっている。この中で「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」は優良株を選別投資するという同ファンドの姿勢が、いわゆる「ボロ株(米国では「ミーム株」といわれたりもする)」という業績の裏付けのない株式まで株高を演じているという現状とのかい離が出てしまっているのか、7月以降のパフォーマンスで苦戦している。

一方で、主要インデックスの中では「はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」が年初来上昇率8.97%で、「日経225」に次ぐパフォーマンスになっている。これは米国株式以外にも欧州株式や日本株式、中国株式など新興国株式の一部などもパフォーマンスが良かったという側面もあるが、米国株だけが為替で円に対してドルが弱くなったということの影響を強く受けている。ドル円は年初に1ドル=157円だったものが、9月19日現在は147円と約10円の円高・ドル安になっている。6%強のドル安の影響がある。ユーロ円は1ユーロ=163円近辺から173円台へと円安・ユーロ高だった。為替がパフォーマンスに与えている影響もしっかり評価してファンドの強弱を考えたい。