「何となく」で選ばないために必要なこと
特に「理解しているか少し不安」という回答が4割を超えている点は注目に値する。基本的なことは理解しているつもりだが細かい点には自信がない、あるいは知識をもとに適切な判断ができるかどうか、実際には不安があるといった心理の表れかもしれない。
特に金利環境が変化する中で、どの金利タイプが自分に合っているのかを判断することは容易ではない。変動金利は当初の返済負担は軽いが将来の金利上昇リスクがあり、固定金利は安定性がある一方で相対的に金利負担は重くなる傾向がある。こうした特性を自身のライフプランに照らし合わせて考える必要がある。
では、よく分からない場合はどうしたらよいのだろうか。3つの解決策を提案したい。
1.金融機関の担当者に質問をする…説明に際しては専門用語を避け、分かりやすく話してほしいと伝える。
2.シミュレーションツールを活用する…金利変動によって返済額がどう変わるかを可視化するため、金融機関などが提供するシミュレーションツールを活用する。変動型、固定型とも複数の条件を当てはめて違いを把握することをおすすめする。
3.中立的な窓口に相談する…営業目的ではない、客観的なアドバイスが受けられる場を探し、相談する。
住宅ローン利用予定者の6割以上が金利タイプのメリット・デメリットを十分に理解していないという調査結果は、住宅ローン商品に関して情報格差が存在することを示している。
長期にわたり家計に大きな負担となることが多い住宅ローンは、「何となく」で選ぶのではなく、十分な理解に基づいた選択が必要だ。分からない点、知りたい点をあらかじめリストアップし、可能な限り調べておくことが望ましいだろう。受け身ではなく、自分で積極的に情報収集して理解を深めることが欠かせない。
調査概要 調査名:「住宅ローン利用者の実態調査 【住宅ローン利用予定者調査(2025年4月調査)】」 調査主体:住宅金融支援機構 公表日:2025年6月27日 調査期間:2025年4月30日~5月12日 調査対象:今後5年以内に具体的な住宅の取得予定があり、住宅ローン※を利用予定の1500人(全国20歳以上~70歳未満、学生・無職除く) ※借換、リフォームローン、土地のみローン、投資用ローン除く