金利タイプ選好の変化から読み取れる背景

全期間固定型の支持拡大は、将来の金利上昇リスクに対する警戒感の高まりを反映している可能性がある。長期にわたる超低金利時代が終わりを告げ、金利の先行きに不透明感が増す中、返済額の予測可能性を重視する傾向が強まりを見せていると考えられる。

一方で、依然として変動型が最も高い支持を得ている点は、当面の返済負担の軽減を重視する層が多いことを示している。

固定期間選択型は、変動型と全期間固定型それぞれの中間的な特性を持ち、一定期間は金利が固定されるものの、その後は変動型に移行するか再度固定型を選ぶかを決めるタイプだ。この選択肢が3割超の支持を得ている点は、リスクとコストのバランスを取りたいという住宅ローン利用予定者の現実的な判断を表しているのかもしれない。

住宅ローン選びに求められる慎重な判断

金利タイプの選択は、住宅ローン借入後の家計に長期間影響を与える重要な決断だ。変動型は当初の返済負担は軽いものの、将来の金利上昇リスクを借り手が負う。全期間固定型は将来の金利変動に左右されない安心感がある一方、当初の金利水準が高めに設定されるケースが多い。

調査結果は、金利環境や経済見通しの変化に応じて住宅ローン利用予定者の選好が変化していることを表している。特に全期間固定型への関心の高まりは将来の金利上昇への警戒感が強まっていることを示唆している。

住宅ローンの金利タイプ選択にあたっては、単に現在の金利水準だけでなく、家計の返済能力、収入の安定性、将来の金利動向予測など、多角的な視点からの検討が欠かせない。各金利タイプの特性を十分に理解した上で、自身のライフプランに最も適した選択をすることが重要だ。

●金利タイプごとのメリットデメリットについては後編「住宅ローン「変動型」「固定期間選択型」「全期間固定型」…違いが分からない人の割合は? 調査が明らかにした「理解に不安」を抱える人の現実」にて詳報している。

調査概要 調査名:「住宅ローン利用者の実態調査 【住宅ローン利用予定者調査(2025年4月調査)】」 調査主体:住宅金融支援機構 公表日:2025年6月27日 調査期間:2025年4月30日~5月12日 調査対象:今後5年以内に具体的な住宅の取得予定があり、住宅ローン※を利用予定の1500人(全国20歳以上~70歳未満、学生・無職除く) ※借換、リフォームローン、土地のみローン、投資用ローン除く