海外で大苦戦、10年で最終赤字3回 手放した子会社でなぜ損失?

続いて業績です。LIXILは構造改革の推進中で、コア事業への集中を進めてきました。20年に伊ペルマスティリーザや国内小売事業(ホームセンター)を売却したほか、25年4月には米国浴槽事業の一部譲渡や、同年7月には外装材(サイディング)事業の終了を決定しています。これに伴い、売り上げは減少傾向にあります。

利益も停滞の傾向で、直近10年では3度の最終赤字を経験しています。うち2回は海外M&Aが主因で、16年3月期は取得直後の独グローエで発覚した子会社の不正会計に伴う損失が、19年3月期は11年に買収したペルマスティリーザの不振が足を引っ張りました。24年3月期の赤字は、国内外の金利上昇による需要の減退が主な要因です。

なお、ペルマスティリーザは20年に売却しますが、24年3月期の赤字の一因にもなっています。ペルマスティリーザの実質的な売却代金の一部は、同社のキャッシュフローに応じて段階的に支払われる契約でした。しかし、キャッシュフロー条件を満たすことができなくなり、回収見込みがなくなったことから、当期に損失が生じる事態となりました。

25年3月期は最終黒字に復帰します。国内は新築向けで売り上げが減少したもののリフォーム向けが好調だったこと、海外は欧州および中東で売り上げの改善や構造改革が進んだことがけん引しました。もっとも、利益の水準は依然として低位にとどまります。

LIXILの業績(2016年3月期~2025年3月期)を表した図表
 
出所:LIXIL 決算短信より著者作成