「多角化」から「選択と集中」へ 2000億円規模の事業再編に着手
事業をサブセグメントまで掘り下げると、コアコンポーネントは特に半導体関連部品で苦戦していることがわかります。半導体関連部品は、主に半導体向けの基盤を手掛ける領域です。京セラは、コアコンポーネントと電子部品を中心に売上高で2000億円規模の事業見直しに着手しました。
コアコンポーネントでは、半導体基盤の次世代型への切り替えに取り組みます。既存の製品は利益率が低いことから、生産を順次終了させ、採算の改善を図る方針です。同時にセラミック関連の半導体製造装置向け部品および半導体基盤をコア製品と位置づけ、経営資源を集中させることで成長を目指します。
電子部品においては、パワー半導体事業の切り離しを公表しました。新電元工業へ売却する計画で、売却の時期は今期(26年3月期)の第4四半期を見込みます。さらに、追加の事業整理も検討し、収益の改善を急ぎます。一方、積層セラミックコンデンサ(MLCC)およびタンタルコンデンサには注力し、M&Aも視野にシェアの拡大を目指します。
なお、構造改革には屋台骨となっているソリューションも含まれます。主な対象は太陽電池などのスマートエナジーと、通信機器です。スマートエナジーは、再生可能エネルギー電力の供給と需要を京セラがつなぎ、高収益ビジネスへと昇華させます。通信機器は、消費者向けからは撤退し、法人向けへ特化することで収益の改善させる方針です。
「アメーバ経営」の京セラは、多角化が大きなテーマの1つでした。現在は、反対に選択と集中の時期に入っています。事業の見直しは、大きくは今期で完結させ、必要に応じて翌期以降も実施する考えです。