KDDIの筆頭株主 コアはソリューション事業、部品は苦戦
まずは概要を押さえましょう。
京セラは大手の電子部品メーカーです。1959年に稲盛和夫氏が京都に創業しました。創業期はブラウン管テレビ用の絶縁部品で成長し、1966年には米IBMからの大型受注を機に半導体基板へ本格参入しました。以降、独立採算制の小集団単位で経営を管理する「アメーバ経営」に基づき、事業を多角化しつつ発展します。
1984年には現在のKDDIを設立しました。通信システムなどで協業しつつ、KDDI株式は担保として資金調達にも活用しています。なお、KDDIの保有は縮小していく方針であり、25年5月にはKDDI実施の自社株TOBに応募しました。この売却で保有比率は14.13%まで低下したものの、京セラは現在もKDDIの筆頭株主とみられています。
事業は大きく3つに分かれます。祖業であるセラミック技術を生かしたコアコンポーネントと電子部品、そしてソリューションです。ソリューションは製品やサービスを複合的に提供するビジネスで、複合機およびプリンターや工具、通信機器などを手掛けます。
現在の京セラを支えるのはソリューションです。中でも複合機およびプリンターの比重が重く、25年3月期はセグメント売上高の43.2%、セグメント利益の67.2%を占めました。一方、コアコンポーネントや電子部品といった部品事業は苦戦している状況です。
【セグメント情報(25年3月期)】
※FA(Factory Automation)…工場自動化
※事業利益…売上高から本社部門損益および法人所得税費用以外の関連原価と営業費用を差し引いたもの