生まれ変わりのきっかけは構造改革 時価総額5兆円を目指す次の戦略とは
先述のとおり、サンリオの高い利益率は近年に発現したものです。コロナ禍の一時的な落ち込みを除いても、従来の利益率は現在より低いものでした。
サンリオの急激な利益率の改善は、構造改革がきっかけでした。同社は21年3月期の赤字を契機に、不振が続いていた国内の物販事業と米国事業の改革を開始します。双方でEC化を強化しつつ、国内の物販事業は在庫の圧縮などで17億円の利益改善、米国事業は流通の外部化による販管費の改善で約11億円の赤字解消を目指しました。
改革は迅速でした。当初は3年の計画でしたが、目標を1年前倒しで達成します。連結では24年3月期に売上高530億円、営業利益30億円を掲げましたが、実際はそれぞれ1000億円および270億円と、計画を大きく超過します。脱コロナやインバウンドといった外部の追い風もあり、構造改革を進めた日本および北米の利益が顕著に拡大したことがサンリオの成長をけん引しました。
現在はIPの拡大が戦略の中心です。自社だけでなく、他社IPとの融合も積極化し、プラットフォーマーとしてサンリオキャラクターを拡張させます。具体的な想定は、他社のショーとの共演や、ゲームや映像コンテンツでの展開などです。ゲームは自社制作2本を27年3月期に、映像コンテンツはアニメーションおよび映画を26年3月期から順次リリースする計画です。
これらを実行し、27年3月期に売上高1750億円、営業利益は650億円以上を計画します。以降も営業利益を年平均10%以上で成長させ、35年3月期までに時価総額5兆円の到達を目指します(25年7月15日終値の時価総額:1兆5077億円)。
【中期経営計画の主な財務目標(~27年3月期)】