各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、大和証券の6月のデータ(週次)をもとに解説。

大和証券の投信売れ筋ランキングの2025年6月のトップ3は、前月と同様でトップに「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」、第2位に「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド」、第3位に「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Bコース(為替ヘッジなし)」だった。前月第7位だった「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」が第4位に浮上し、第9位だった「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(1年決算型)」が第6位に上がった。また、トップ10圏外から「半導体関連 世界株式戦略ファンド」が第10位に食い込んだ。一方、前月第4位だった「ストック インデックス ファンド225」は第9位に後退した。

(出所)公表データに基づいて編集部作成

◆ランキングトップ3のパフォーマンスは?

大和証券の売れ筋(ダイワのオンライントレード買付金額(総合)ランキング)において2カ月連続でトップ3になった3ファンドは、これまでもトップ10の上位にランクされている人気ファンドだ。

ランキングトップの「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」は、高い利益成長もしくは持続的な利益成長の可能性が高いと判断される企業を選別し、魅力的な投資機会に投資していく代表的なアクティブファンドだ。2024年以来のパフォーマンスを振り返ると、2024年7月までは米国の代表的な株価指数である「S&P500」に連動する「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」を明瞭に上回る成績を続けてきたものの、2024年9月以降は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」に劣後する結果になり、その状況は2025年に入っても続いている。2024年11月の米大統領選、2025年1月の「DeepSeekショック」、そして、4月の「相互関税ショック」とさまざまな変動要因によって米国株式市場の状況が変化している時期にあり、その変化にやや乗り遅れているのかもしれない。2024年1月末時点で、過去10年の騰落率が454%と「S&P500」の375%を上回り、2012年3月末以来約12年間の比較でも797%と691%という結果を残し、中長期では「S&P500」を上回ってきた実績が、同ファンドの人気を支えているといえるだろう。

第2位の「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド」は、2024年以降は米国株式に劣後する展開を続けてきた。「S&P500」インデックスファンドや「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」、そして、米国株式の組み入れ比率が90%程度になる「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Bコース(為替ヘッジなし)」にパフォーマンスで劣り、かつ、2024年8月以降は劣後の程度をより大きくするような低迷を続けてきた。ただ、同ファンドが投資するインドの経済発展については、先進国を上回る雄大な成長が期待できる。3年、5年という長期の目線での投資が続いている。

そして、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Bコース(為替ヘッジなし)」は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」と比較して極めてメリハリの利いたパフォーマンスを残している。2024年以降の成績では、2023年12月末を起点として2025年1月には騰落率が160%のピークを付けた。これは、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の140%を大きく上回っている。また、2025年4月時点での下落率は他のファンドより大きなものだったが、その後の戻り局面でも大きな上昇になっている。2024年以降、「S&P500」を一貫して上回る成績を残してきたことが同ファンドの評価につながっているのだろう。