今後の注目ポイント

では、最後に来週の主な予定とポイントを見ていきます。7月1日、日銀短観が出ます。製造業の見通しが注目されています。おそらくトランプ関税の影響により相当悪い結果が出てくる可能性があります。そうなればますます利上げは困難との見方から、どちらかというと日銀短観は円安の材料になる可能性が高いと思われます。

来週は米国で労働市場に関連する指標が多く発表されます。特に、雇用統計が注目されます。足元では米国の労働市場が少しずつ悪くなっています。例えば失業者に対する求人件数はピーク時に2倍でしたが、これが1倍割れ目前まで低下してきました。失業保険を継続して受給している人数も200万人に迫っています。パウエル議長も「関税なかりせば今頃は利下げをやっている」と議会で証言した通りです。

雇用統計に関し、非農業部門雇用者数の変化は前月から12万人の増加が見込まれています。前月は13万9千人の増加でした。失業率は前月の4.2%から4.3%に若干上昇すると見込まれています。
仮に結果が予想よりも良かった場合は素直にドルが反発し、ドル円も円の弱さを背景に146円台まで上昇しても不思議ではありません。ただ、4日の金曜日が独立記念日で休場の為、発表されるのは3日です。その後、市場が薄くなることから、仮にドル円が上昇した場合もその後、反落して週末を迎えるイメージです。
一方、予想よりも悪かった場合は、7月利下げ観測が台頭するでしょう。ドルが売られ、ドル円も143円台まで下落する可能性があります。ただ、利下げの前倒しを株式市場が好感するとみられ、そうなればリスクオンの円売りも強まりそうです。クロス円が堅調に推移する結果、ドル安円高もさほど進まないと予想します(16ページ)。

出所:内田氏

―――――――――――――――――――――――――

 

「内田稔教授のマーケットトーク」はYouTubeからもご覧いただけます。

公式チャンネルと第38回公開分はこちらから