899条項の削除が与える影響
今週はドルをサポートする動きもみられました。いわゆる報復関税899条項です。過去の動画でも取り上げましたが、今週はベッセント財務長官が上下両院に対して、トランプ政権が進めている減税法案から、この899条項を削除するように求めたと財務省が発表しました(6ページ)。

899条項とは、米国の企業に対して不公正な税を課している国に所属している個人や機関投資家などが米国で得たクーポン収入や配当金などに対して、最大で20%を課税する内容です。
イメージですが、米国債に投資をして4%のクーポン収入がある場合、そのうちの20%、つまり80ベーシスポイント相当を税金として取られてしまうというものです。その場合、米国債投資意欲が削がれてしまい、ドル資産離れやドル売りの材料となる可能性がありました。第37回では上院が2027年以降まで延期する審議に入ったとお伝えしましたが、そこからさらに踏み込んだ形です。ドルやドル建て資産に対する逆風が和らぐという意味においてドルをサポートする材料と考えられます。
もっとも、今週はドルが続落しました。これまで何度かお伝えしている通り、重要なラインであるユーロドルの1.15の攻防を巡り、今週は明確にユーロが上抜けし、1.17台に到達し、全般的にドル安になっている状態です。