改めてドル指数を見ておきましょう。2021年以降のレンジの上から61.8%押しにあたる水準が98付近です。この攻防の象徴がユーロドル1.15でしたが、今週は先述の通り、原油価格の上昇によって、資源輸出国である米国と純輸入国である日本やユーロ圏で、明暗が分かれ、ドル指数も99まで反発する場面がありました。これがドルの実力かどうか、まだ見極めが難しい状況にありますが、ドル安に歯止めがかかりつつある動きが出始めています(8ページ)。

 

一方の円について、スイスフラン円を材料に持続的な円高が容易ではない点を考えていきます。今週、スイス国立銀行(スイスの中央銀行)が利下げを行い、政策金利がゼロになりました。日本の政策金利はスイスよりも高い0.5%ですが、そんなスイスフラン円が昨年7月の史上最高値である180円に迫るスイス高円安となっています(9ページ)。スイスフランに限らず、多くのクロス円で円安が進んでいる点をこれまで紹介してきました。結局、ドル安円高が進んできたのも、その多くは円高ではなくドル安と考えられます。このところのスイスフラン円の動きはまさにそれを象徴するものです。