◆資産分散型の「のむラップ・ファンド」の人気の背景は?
国内外の株式と債券、そして、外国REIT(不動産投信)を投資対象として、それぞれの組み入れ比率を調整することによってリスク・リターンの水準が異なる5つのファンドを構成している「のむラップ・ファンド」は、攻めと守りのバランスをとる「普通型」と、より積極的に収益をめざす「積極型」が人気を集めている。2010年3月の設定来、2025年3月末まで15年間の実績で「普通型」は平均年率リターンが6.8%、平均年率リスクが10.0%だった。「積極型」は平均年率リターンが9.2%、平均年率リスクが13.0%だ。「積極型」であっても過度なリスクを取らないような運用を心がけていることがわかる。
米国の関税政策の行方が見通せない中で、6月になっても依然として株式市場では不安定な値動きが続いている。5月末時点において、2024年12月末比で「eMAXIS S&P500インデックス」はマイナス10%の水準に戻ってきた。下落時のマイナス幅が小さかった「のむラップ・ファンド」は「普通型」「積極型」ともに2024年12月末比でマイナス5%程度の水準になっている。ともに、今後の米国経済の行方を見定めようとしているようだ。今後、米国経済がマイナス成長に落ち込むのであれば、リスクを分散した「のむラップ・ファンド」といっても前年末の水準を超えて上値を追っていくことは難しいだろうし、さらに「eMAXIS S&P500インデックス」においては、再び4月につけた安値をうかがうような下落場面も想定される。5月のランキングで資産分散型の「のむラップ・ファンド」の人気が高まっているところには、投資家の多くが先行きへの不安を抱いているということが感じられる。
米国トランプ政権は、関税政策で諸外国との貿易交渉を進める一方で、大幅な減税策の実行による景気浮揚を狙っているとされる。はたして、トランプ政権が思い描くような展望が開けるものかどうか、現在の米国株式市場はその先行きを見極めようとしているようだ。
執筆/ライター・記者 徳永 浩