三菱の大海運会社、自動車船で世界トップ 利益はONEの影響大きい

まずは概要から解説します。

日本郵船は三菱グループの海運会社です。1870年に土佐藩の海運事業を承継した三菱商会(当時は九十九商会)が設立し、1885年に渋沢栄一らの共同運輸と合併して誕生しました。国内海運のトップランナーであり、特に自動車船のシェアは世界トップクラスです。

【海運大手3社の売上高(2025年3月期)】

・日本郵船:2兆5887億円
・商船三井:1兆7755億円
・川崎汽船:1兆479億円

出所:各社の決算短信

日本郵船の利益に大きな影響を与えるのが、持分法適用会社のONE社です。国内海運3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)で設立したコンテナ船の会社で、船腹量で世界ランキング6位の大企業です。

持分法の投資損益は営業外収益に計上されるため、ONE 社の業績は経常利益以降に反映されます。日本郵船の利益を確認するときは、経常利益以降をチェックしましょう。各セグメントの利益も経常利益で整理されています。

自動車と定期船(コンテナ船)以外では、エネルギーの利益が大きめです。エネルギーは、原油やLNG(液化天然ガス)といったエネルギー資源の輸送のほか、専用船を用いた開発事業も担います。

その他はクルーズ事業も手掛けます。クルーズ事業は、25年7月に34年ぶりの新造客船となる「飛鳥Ⅲ(スリー)」の就航を予定します。また、オリエンタルランドが28年度の展開を目指す「ディズニークルーズ」での協業も明かしています。なお、航空運送事業は子会社(日本貨物航空)をANAホールディングスへ譲渡する予定となっており、今後の収益の貢献は縮小する見込みです。

【セグメント情報(2025年3月期)】 

日本郵船の各セグメントの概要、経常利益を表した図表(2025年3月期)
 
出所:日本郵船 決算短信