2大テーマ「バリューチェーン事業」と「米州事業独自展開」とは
理解を進めるため、日立建機の事業をさらに深掘りしていきしょう。
日立建機の事業は、「新車販売」と「バリューチェーン事業」に整理できます。バリューチェーン事業とは、大まかに新車販売以外の事業のことです。部品の再生やメンテナンスのほか、中古車やレンタルといったサービスで構成されます。
日立建機は現在、バリューチェーン事業に注力しています。目的は収益の安定化です。新車販売は景気変動の影響を比較的強く受けますが、バリューチェーン事業はすでに稼働している機械へのサービスの提供であり、継続的な収益が期待できます。同事業の収益は拡大傾向にあり、2025年3月期は全社売り上げの43%を占めました。
バリューチェーン事業と並ぶ注力事業が「米州事業独自展開」です。米州事業は従来、提携先の米ディア社が販売を担っていました。この提携を解消し、2022年からは日立建機が販売までを手掛けています。自前の展開は順調で、売り上げは提携の解消直後から大きく拡大しました。
米州事業の独自展開で、日立建機が手にした武器がデータです。販売データを把握できるようになったほか、機械の管理サービス「コンサイト」を搭載して販売できるようになりました。収集した稼働データは、アフターサービスを手掛けるバリューチェーン事業とのシナジーも期待できます。
日立建機は、推進中の中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)において、財務目標にバリューチェーン事業と米州事業独自展開を設定しました。当初計画から下振れする公算ですが、最終年度である今期(2026年3月期)も取り組みを進め、両事業の成長を図ります。
【中期経営計画の主な財務目標】
