年金の受け取り方は全部で4パターン

輝幸さんは年金事務所の職員に「恥ずかしながら自分は年金のこと全く何も考えず過ごしてきました。年金の仕組みや手続きとか、教えてくれませんか」と尋ねます。

職員は順に説明します。「まず、輝幸さんの場合、61歳から65歳までの4年間、特別支給の老齢厚生年金(特老厚)が受け取れる世代の方になります。年金には5年の時効があり、今71歳ですから、65歳前に遡って受け取れないことになります。ただ、61歳から65歳までは働いていて、その当時は月給が高かったため、4年間の特老厚は全額支給停止、結局支給は0円ですね」とのことでした。輝幸さんは65歳までの年金は0円だと確認できました。

続けて職員は65歳以降の年金について説明します。「65歳以降生涯受給できる、老齢基礎年金と老齢厚生年金ですが、こちらは手続きをすれば受け取れます。受け取りのパターンとして4つありますね」とのことでした。65歳以降の月給は高くないため、年金の支給停止もなく、こちらはどうやら受け取れるようです。

しかし、「4パターン? そんなにあるのですか。選ばなきゃいけないのかな……」と疑問に思う輝幸さん。これについて職員は「先ほど5年の時効があるとお伝えしましたが、これも受給に影響しています」と付け加えます。

「どういうことなんですかねぇ」と輝幸さんは理解がまだ追いつきませんが、詳しい説明を聞くことになります。

●輝幸さんが職員の説明で初めて知ることになった、繰下げ受給に関わる新事実とは? 後編【年金に無関心で手続きを後回しにしていた71歳男性、退職後に知った繰下げ受給の「知られざる真実」】で詳説します。

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