三井住友銀行の投信売れ筋ランキングの2025年4月のトップ2は前月と同様に「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<世界のベスト>」、「三井住友・225オープン」だった。第3位には前月第4位の「SMBC・DCインデックスファンド(S&P500)」が上がり、前月第3位の「三井住友・NYダウ・ジョーンズ指数オープン(為替ヘッジなし)」は第4位に後退した。第5位は前月と同じ「SMBC円資産ファンド」だった。また、前月第8位の「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」は第7位に浮上し、トップ10圏外から「エス・ビー・日本株オープン225」が第9位に、「SMBC・DCインデックスファンド(MSCIコクサイ)」が第10位にランクインするなど株式インデックスファンドのランクアップが目立った。

 

◆世界の市場をリードした米国株式に変化

三井住友銀行の売れ筋ランキングの上位に入っているファンドの値動きを新NISAがスタートした2024年1月から振り返ってみると、売れ筋トップの「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<世界のベスト>」を中心に、同ファンドをアウトパフォームする「SMBC・DCインデックスファンド(S&P500)」にけん引された外国株式インデックスファンドと、「世界のベスト」を下回るパフォーマンスを続ける「三井住友・225オープン」という構図になっている。

「三井住友・225オープン」の低迷を決定づけたのは2024年8月5日の株価急落だ。その直前の7月31日に日銀が予想外の利上げを行い、十分な説明がないままに国内の利上げ観測が高まり、そこへ米国の景気先行き不透明からの利下げ観測が重なって急速な円高と国内株安が同時に進行した。8月5日の日経平均株価の下落は4451円で過去最大の下落幅になった。この下落の一因が米国の景気後退懸念であれば、その後は米国株価が軟調になってもおかしくないところ、その後、米国株価は史上最高値を連続して更新する株高に進み、日経平均株価は2024年7月11日の4万2224円の最高値をピークとして4万円の回復すらままならない状態を続けてきた。日米の株価推移を振り返るほどに、金融当局者の金融政策に対する説明能力が金融市場に与える影響の大きさを感じざるを得ない。

そして、2025年4月2日の米国「解放の日」に行われた相互関税の発表にともなう混乱が米国株式市場をはじめ世界の株価を動揺させた。市場との対話にたけた米FRBもさすがに今回の関税政策の着地点を見通すことは不可能であり、動揺する株式市場等に効果的なメッセージを発信することができないでいる。そのような中で、米国株式とともに国内株式も大きな調整安となったが、アクティブファンドである「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<世界のベスト>」は、インデックスファンドとはやや異なる動きをしている。

「SMBC・DCインデックスファンド(S&P500)」が今年の高値を付けた2月19日からトランプ関税ショック安の4月9日安値までの下落率で、「SMBC・DCインデックスファンド(S&P500)」や「三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド」、「SMBC・DCインデックスファンド(MSCIコクサイ)」などが20%を超える下落率になる中で、「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<世界のベスト>」の下落率は14%程度の下落率にとどまり、その後においても「SMBC・DCインデックスファンド(S&P500)」などよりも大きな戻り率になっている。ただし、戻り率の大きさでは「三井住友・225オープン」の戻り率も外国株式インデックスファンドと比較すると大きい。

今回の株式市場動揺の震源は、明らかに米政権の政策にあり、それが米国と他の国との貿易に焦点を当てたものであるだけに、他の国々からの「米国外し」の動きも出てきている。米国企業がこれまで同様に他を上回る成長が続くとは限らない。世界の市場から成長企業を厳選する「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<世界のベスト>」や日本株式ファンドの株価の戻りが先行したことには、これまでの市場の評価とは異なる評価が芽生え始めていることを感じさせる。