◆「SMBC円資産ファンド」の持つ安定の価値
三井住友銀行の売れ筋の一角に食い込んでいる「SMBC円資産ファンド」は、基本配分率で日本国債に50%、絶対収益型(日本株マーケットニュートラル戦略)に30%、国内高配当株に20%とし、市場見通しによって国内株式への投資比率を引き下げるという運用戦略をとっている。資産を守りながら安定的な収益の獲得をめざすファンドだ。2025年4月末時点では、日本国債に46.0%、絶対収益型に30.5%の配分とし、国内高配当株には8.6%として現金等を14.8%に高め、株式市場の大きな変動を避ける動きをしている。価格変動リスクを慎重に考える運用の結果、同ファンドの基準価額は2025年に入って米国株式市場などが大きく下落する局面でも、その下落の影響を受けずに基準価額が横ばいに推移している。
2025年4月末時点での同ファンドのトータルリターンは、3年(年率)で2.26%、5年(年率)でも2.24%と2%台の安定的なリターンになっている。株式ファンドであれば年率10%を超える高いリターンも期待できるが、2025年に入ってからのような下落相場では、10%を大きく超えるマイナスになることもある。2025年3月になって日本国債10年の利回りは1.5%程度になってきた。2023年までは0.5%以下の水準で、2024年の半ばから後半になって1.0%程度に上昇するなど、徐々に日本国債利回りが高くなってきたこともあり、同ファンドの債券投資部分のリターンの向上も期待できるようになっている。株式ファンドへの投資による高いリターンを求める場合には、資産のベースとして「SMBC円資産ファンド」のような安定的なパフォーマンスが維持できるファンドを保有していることは重要だ。今後も株式市場が不安定な動きとなっていくことが考えられる中で、同ファンドの安定性が注目されるだろう。
執筆/ライター・記者 徳永 浩