スキーリゾートとしてかつて脚光を浴びた新潟・湯沢町のリゾートマンション群。しかし、バブルの終焉とともに資産価値は大きく下落しました。
購入当時は「夢のセカンドハウス」だった物件が、いまや処分にお金がかかる“負動産”となり、所有者を苦しめています。
なぜこうした事態に陥ったのでしょうか。現地取材を重ねる吉川祐介氏が、リゾートマンションの今を伝えます。(全3回の1回目)
※本稿は、吉川祐介著『バブルリゾートの現在地 区分所有という迷宮』(角川新書)の一部を抜粋・再編集したものです。
湯沢のリゾートマンション特有の問題点
本格的に不動産価格が低迷し始めた2000年代以降は、湯沢にとってまさに冬の時代であった。続出する管理費の滞納問題によって管理組合の財政は悪化し、中には1億円を超える累積滞納額を抱え込むほどの事態に陥ってしまったマンションもある。
バブル期に建築された湯沢のリゾートマンションは、スキー用品のロッカールームやコインランドリーはごく標準的な設備で、共同の温泉大浴場のほか、トレーニングルームや温水プール、レストランやラウンジなど、一般の民間マンションではあまり見られない共用設備を豊富に揃えているが、もちろんその分管理費は高額になる。
では、共用設備が少なくて管理費が安いマンションが有利かと言えば、そんな簡単な話でもない。
豪華な設備が当たり前となった湯沢においては、そうしたマンションはリゾート物件としての魅力が相対的に低い。管理費の負担を切り詰めてまでリゾートマンションを購入し所有しようという人は少ないので、設備の乏しいマンションも在庫が膨れる一方であった。
基本的に外部に広く公開する情報ではないので、各マンションの管理費滞納状況を記録した資料などはないのだが、僕が湯沢で取材したところによれば、管理費の額にかかわらず、多かれ少なかれどこのマンションも滞納の問題には頭を悩ませているという。