医薬品大手、前立腺がん治療薬で成長 特許切れは「アイザーヴェイ」でカバー

アステラス製薬は医療用医薬品の大手メーカーです。2005年に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して誕生しました。売り上げの規模は、武田薬品工業と大塚ホールディングスに次いで国内トップクラスです。

【主な医薬品メーカーの売上収益(2023年度)】

・武田薬品工業:4兆2638億円
・大塚ホールディングス:2兆186億円
・アステラス製薬:1兆6037億円
・第一三共:1兆6017億円
・中外製薬:1兆1114億円
・エーザイ:7418億円
※大塚ホールディングスと中外製薬は2023年12月期、その他は2024年3月期

出所:各社の決算短信

売り上げのほとんどは海外です。売上収益に占める日本の割合は17.8%しかありません。特に米国での売り上げが多く、売上収益の41.7%を占めます。

主力製品はイクスタンジです。前立腺がんの治療薬で、2012年に米国で販売を開始しました。発売から10年を超えますが、現在もアステラス製薬の屋台骨となっています。

【アステラス製薬の主要製品の売上(2024年3月期)】

・イクスタンジ(エンザルタミド):7505億円
・プログラフ:2031億円
・ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ:1981億円
・パドセブ:854億円
・ゾスパタ:551億円
・アイザーヴェイ:121億円
・ベオーザ(フェゾリネタント):73億円

出所:アステラス製薬 決算補足資料

ただし、イクスタンジは2027年以降に特許切れを迎え、独占販売を終了する地域が出てきます。後発医薬品が登場し、その流通に伴う売り上げの減少が懸念されています。

イクスタンジの補填として期待されるのがアイザーヴェイです。眼疾患の治療薬で、2023年7月に買収した米アイベリック・バイオ社が開発しました。比較的新しい製品で、2023年9月に米国で発売されました。収益の貢献は途上ですが、ピーク時は2000億円~4000億円の売り上げを予想します。