新しい資金調達手段が台頭

言うまでもなく、社会には資金に余裕がある者と、資金を必要とする者がいる。それらをつなぐのが金融であり、この資金の循環がなければ経済や社会は円滑に成り立たない。企業が事業を展開し成長するためには、その活動に必要な資金を何らかの手段で調達しなければならない。

経済の教科書的にいえば、企業の資金調達手段は「間接金融」と「直接金融」の二つに分類される。間接金融とは、銀行などの金融機関が預金者から集めた資金を企業に貸し出す形態を指す。一方、直接金融は、企業が株式や社債を発行し、投資家から直接資金を調達する方法である。

ところで、多くの人は意識せずして金融に関与している。例えば、多くの人が銀行にいくらかの預金をしていると思うが、それはまさに「間接的に」間接金融に寄与していることになる。一方、一部の人は証券会社などを通じて株式や社債を購入し、こちらは「直接的に」直接金融に寄与している。ここまでの内容は、多くの教科書などでも解説されているものである。

しかし近年、特に米国では、これら二つの金融のあり方に収まらない、新たな形態が急速に広がっている。それを本稿では「ファンド金融」と呼ぶことにする。