スキャンダル後、1カ月で株価は約2倍に…
ところが、フジ・メディアホールディングスの株価は、スキャンダルの浮上を機にむしろ上昇しました。
まさにこの問題がメラメラと燃え盛っていた1月15日時点の株価は、1580円の安値をつけましたが、そこから上昇し、2月17日には瞬間、3166円の高値をつけたのです。ほぼ倍です。
過去10年間の株価をさかのぼると、高値は2018年9月の2077円でした。
その後、同社の株価は低迷が続きました。インターネットの通信速度が大幅に向上し、多くの人がスマートフォンを持つようになるなどライフスタイルが大きく変わり、昔に比べてテレビの視聴時間が短くなりました。
そうなると、高い広告出稿料を払ってテレビに広告を打つ必要性がなくなります。もちろん、完全に関係を断ち切るのは難しいものの、徐々に広告出稿量を抑制する動きは散見されました。そのなかで今回のスキャンダルが持ち上がったことは、むしろフジテレビに広告を出稿しているスポンサー企業からすれば、実は渡りに船だったのかも知れません。
そもそもフジテレビは、民放中、視聴率は最下位だったわけで、そこに多額の資金をつぎ込んで広告を出稿し続けることに意味を見出せなくなっているスポンサー企業は、決して少なくないでしょう。
だとすると、第三者委員会の調査報告書が提出され、一通りの処分が終わって新年度入りしたとしても、スポンサー企業が戻って来ないことは十分に考えられます。広告出稿がガタ落ちになれば、フジテレビ、ひいてはフジ・メディアホールディングスに未来はない、と考える投資家は多いはずなので、株価にとっては大きなネガティブ要因になります。
それなのに、フジ・メディアホールディングスの株価は、3166円まで値上がりしました。なぜでしょうか。