売上1兆円を目指し3年で3100億円を投資 還元方針に配当性向30%を設定
最後に中長期的な経営方針も確認しておきましょう。
SCREENホールディングスは2024年5月、新しい中期経営計画を公表しました。2027年3月期を最終年度とする3カ年計画です。10年後の売上高1兆円を目指すための投資フェーズという位置付けで、期間中は成長投資として2900億円を投じます。うち2100億円は研究費と設備投資に、800億円はM&Aを含む戦略投資へ振り向けます。
新中計では新規事業の創設にも取り組みます。半導体パッケージ関連機器や水素MEA(燃料電池向け部材)の受託事業は最終年度までの黒字化を目指します。ライフサイエンスの領域では既存製品(細胞検査事業、錠剤インクジェット)の拡販に取り組むほか、京都大学らと開発する次世代型医療(がん個別化医療)のビジネスモデル確立も模索します。
また、新中計では財務目標も設定されました。売上高は平均6000億円を目指す計画で、2024年3月期(同5049億円)より収益を拡大させます。同時に営業利益率の向上も目指すことから、株主に残る利益も増加することが見込まれます。
【中期経営計画の財務目標:2025年3月期~2027年3月期】
・累計売上高:1.8兆円以上(1.7兆円)
・通算営業利益率:19%以上(15.1%)
・ROIC:15%以上(15.9%)
・株主還元方針:配当性向30%以上(総還元性向30%以上)
※()は2021年3月期~2024年3月期の実績
※ROIC=投下資本利益率
出所:SCREENホールディングス 決算説明会資料
株主還元方針には配当性向で30%以上が盛り込まれました。成長投資の進捗によっては機動的に自社株買いを行う方針も示しています。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)