売上・利益とも過去最高、中国向けが倍増 今期は2ケタ増収増益を計画

次に業績です。直近10期を振り返ると、SCREENホールディングスは2020年3月期までの苦戦からV字回復していることがわかります。

2019年3月期と2020年3月期は2期連続で減益でした。主力の半導体製造装置において、2019年3月期は人件費といった固定費が増加したこと、2020年3月期は売り上げが減少したことが減益の主な要因です。

以降は売り上げと利益のいずれも回復しています。回復は2022年3月期から加速し、売り上げおよび各段階利益は2024年3月期までに3期連続で過去最高を更新しました。

 
出所:SCREENホールディングス 有価証券報告書より著者作成
 

売り上げは特に中国向けが伸長しました。2024年3月期は前期比2.1倍に増加し、台湾の不振をカバーしています。また北米向けも前期比1.7倍に増加し、業績を押し上げました。半導体製造装置がファウンドリー※向けに好調だったようです。

※ファウンドリー…半導体デバイスの製造を他社から受託する業態

 
 
出所:SCREENホールディングス 決算説明会資料より著者作成
 

SCREENホールディングスは今期(2025年3月期)も過去最高の業績を目指します。通期の業績予想は第1四半期と第2四半期で相次いで上方修正されました。期首予想からの引き上げ幅は売上高が170億円、営業利益が135億円、純利益が80億円です。達成すれば、売上高および各段階利益はいずれも2ケタ増収増益となります。

今期は第2四半期まで決算を公表しています。進捗率は、売上高が48.1%、営業利益が51.3%、純利益が48.5%です。消化はおおむね順調といえそうです。

【SCREENホールディングスの業績予想(2025年3月期)】

・売上高:5770億円(+14.3%)
・営業利益:1135億円(+20.5%)
・純利益:800億円(+13.3%)

※()は前期比
※同第2四半期時点における同社の予想

出所:SCREENホールディングス 決算短信

なお、SCREENホールディングスは2024年11月、過年度の決算において子会社で出荷済み装置に関わる収益認識の時期をめぐって不適切な会計処理が行われていた可能性があることを公表しました。これに伴い設置された特別委員会から調査報告を受けたところ、影響が限定的なことが確認できたことから、決算の修正は行わない予定です。