金利はどう決まる? 長期金利上昇の背景と「悪い金利上昇」

こういったFOMCを受けて、米国の長期金利は4.5%台を超えて上昇しています。

出所:内田氏
 

これは過去1年の動きですが、春先の水準に迫る勢いで長期金利が上昇しています。この長期金利が上昇した背景ですが、政策金利の見通しが上がったので長期金利が上がったという部分と、もう一つはプレミアム、いわゆる悪い金利上昇という部分ですが、ここも少し上がっているのです。

出所:内田氏
 

タームプレミアムは長期間の国債を持っていることによる価格変動リスクに対して投資家が求める対価です。いずれにしても、債券市場が大きく変動する可能性が高くなると、このタームプレミアムというものが上昇して長期金利が上がるわけです。これは、いわゆる悪い金利上昇という動きに入ってきます。9月10月ぐらいから、トランプ再選を意識して財政大盤振る舞い、要は米国の財政が少し悪くなるのではないか、長期金利が上昇するのではないか、債券価格と金利は逆行しますから、債券相場が下落するのではないか、そういうことを見越してタームプレミアムが上昇していました。

出所:内田氏
 

その後、トランプ次期大統領が、次の財務長官にベッセントという投資家を指名して、彼は財政を健全化するような方向性を打ち出したタイミングで、このタームプレミアムが低下して長期金利も低下したのですが、それがまた上がってきている状態です。今週長期金利が上昇したのは、政策金利に対する見方が徐々に修正されたことと、この悪い金利上昇という要素も少し入っている、ここは認識しておく必要があると思います。

そして、為替ですが、米国の金利が上昇しました。まずドル指数を見ますと、この青い方の線ですが、ドル指数は下に書いています通り、主要通貨に対するドルの総合的な値動きを表しています。FOMCの後に、ここでドルが上がっています。その後は、おおむね横ばい圏で動きが止まっているような感じです。ですからドル高になったのですが、1%強のドル高ということになります。

出所:内田氏
 

一方で、ドル円相場を見ていただきますと、まずFOMCのところでドル高によってドル円が上がっています。それから、19日の昼以降は日銀の利上げ見送りによって円安、それから植田総裁の会見で1月の利上げもなさそうだというトーンでしたので、158円手前までドル高円安になったという状態ですね。今週のドル円は、ドル高と円安、この2つによって円安になったということになります。