歴史的な乱高下に象徴された2024年、日本は解散総選挙でリスクオンの異例
――2024年を振り返って、世界経済および金融市場の主な動き、流れは?
日銀が利上げサイクル入りする中で日本の長期金利は上昇して市場も乱高下する局面があったが、想定上に米国経済が堅調だったことや、トランプ再選トリプルレッドなどもあり、ドル高圧力がかかりやすい年となった。
特にドル円で30年以上ぶりの1ドル160円台を記録したことや、日銀のタカ派スタンスへの豹変やサームルール※点灯に伴う世界同時株安など、総じて日米の金融政策と日米の政局を巡って市場が大きく乱高下した一年だった。
こうした中で特に興味深かったのは、日本の解散総選挙で少数与党になって政権が不安定となり、通常であればリスクオフになるのだが、逆に消費者の目線に立った経済政策を打ち出す国民民主党がキャスティングボートを握った結果、リスクオンになったことである。
※サームルール…景気後退期開始の目安となる失業率に関する指標
2025年の米国経済は前半堅調も後半にかけ減速、利下げは2回程度
――2025年の世界経済の見通しは?
最も大きなカギを握るのは、米国の政治と金融政策の動向だ。年明け発足のトランプ政権がどのタイミングでどんな政策を発動するのか。加えて、連邦準備制度理事会(FRB)が中立金利に向けてどんなペースで利下げを実施するかも、マーケットを大きく左右するだろう。
具体的な展開としては、就任当初はシェールオイル増産期待などから原油価格の下落を通じたディスインフレで米経済は堅調に推移するが、年後半にかけて追加関税引き上げの影響が顕在化することから、経済成長率が減速に転じると予想する。
具体的な米国経済成長率の見通しはプラス2%程度と24年からやや減速を見込むも、潜在成長率とされる1%台後半は引き続き上回り、インフレ率が下がりにくい環境が続くだろう。こうした中、FRBの利下げは年2回程度となり、緩やかな金利低下とドル安基調の中、株価は年前半は上がるが、後半は踊り場という展開を予想する。