5年前(2019年)と最近の求人率を比較してみました。求人統計はまだ10月分までしか出ていませんので、2019年10月と2024年10月を、対して失業統計は11月分が出たので、11月同士を比較しています。

 

こんな結果になりました。右端から見てみましょう。失業率は5年前に比べて上昇しています。しかし、求人率はほぼ同じ水準です。つまり、失業者は増えているのに求人は減っていないことになります。

この現象が起こっている業界は「専門派遣」「宿泊・外食」「遊興・接客」などです。要因はいくつかあるでしょう。コロナ禍で最もダメージを受けた業界ですから、立ち直ろうとしている。

また、これまで給料が低かった業界でもあります。労働者が「こんな給料ではやってられない」あるいは「もっと給料をください」となったのかはわかりませんが、さまざまな要因から需要が供給を上回り、人手不足の状態になっています。

人手不足であれば賃金は上昇する。それに伴い物価が上がれば、サービス価格も上昇します。悪循環が起こってしまっている。

一方で求人が減っている業界もあります。その一つが「小売り」です。5年前の小売りの求人率は5%でした。今は3.3%に下がっています。無店舗での販売の急増などで人が余ってしまっているのでしょう。構造的な問題を抱えているようです。

意外だったのが「建設」です。米国では住宅市場が強く、需給がひっ迫しているのではないかとも言われています。しかし、求人が減っている。何らかの形で土木作業員の需要が減っているのではないかと考えられます。今後の景気を見るうえで重要な動きと言えそうです。