さて、2000年12月から始まった米国の求人統計を失業率、求人率、賃金上昇率でまとめてみました。

 

失業率を見ると景気が悪くなると上がる、逆に賃金は景気が悪くなると下がり、よくなると上がる。失業率と逆の方向に動いています。求人率はどちらかといえば賃金と同じように動きます。

各種データがそろいました。この中で決め手となるのが、労働者を受容する企業サイドの情報である求人率です。

人手不足が強ければ賃金は上がるわけです。つまり求人率は賃金を上げる原動力になる。だから求人率と失業率から考えよう。そのような試みからアメリカで生まれたのが「ベバレッジ曲線」です。

 

横軸は失業率を、縦軸は求人率を取ります。失業率が下がると求人率が上がる。逆に失業率が上がると求人率が下がる。このような、行ったり来たりの動きを示すのがベバレッジ曲線です。

コロナ前までの動きをまとめてみました。

 

わかりやすいのが2009年10月の金融危機後の動きです。このときは景気の悪化のピークで、失業率は10%まで上がりました。

対する求人率は2%程度に下がっています。逆に景気が良くなり、失業率が4%を切るようになると求人率は上がってきています。教科書通りの動きですね。

ところがコロナ禍のあとは違います。2020年3月からドンと失業率が上がりました。

 

リオープンになると今度は求人率が上がり、その傾向は22年3月まで続きました。現在は徐々に求人率が下がり、需給が一致する状況へと戻ろうとしています。

ただ、求人率は一番新しいもので約4.6%で、コロナ前の水準には戻っていません。次にこの点に注目したいと思います。