ネクステージ(証券コード:3186)の今期および来期にわたる業績予想を紹介する。同社は1998年12月に輸入車販売事業で創業し、2013年7月に東証マザーズ(現東証グロース)に上場、そして2014年9月に東証プライム市場に変更した。自動車販売事業を展開しており、売上高のすべてを占める。
自動車販売事業は中古車販売事業、輸入車ディーラー事業、整備事業、自動車買取事業の4つの事業に分けられる。車両販売時における下取り車の買取、顧客の持ち込みによる買取、同社ホームページにアクセスがあった顧客に対する出張買取といった買取事業や、オートオークションおよび一般顧客からの仕入れによって調達した中古車を個人向けに販売し、保険や整備、点検も同一拠点で提供しているのが特徴だ。これにより中古車のビジネスサイクルである、車両販売→用品販売→保険→整備→点検→車検→買取のすべてのワンストップ化を実現している。加えて、販売できなかった自動車はオートオークションへ出品しており、売上高全体の約20%を占める。また輸入車ディーラー事業ではボルボやアウディ等のブランドを全国51店舗展開し、個人向けに販売を行っている。
直近の決算は10月に開示された2024年11月期の第3四半期決算であり、小売店販売や輸入車ディーラー、買取店事業を中心に成長したが、販管費の上昇や中古車販売における一台当たりの粗利の低下によって増収減益となった。
上記が今回行った業績予想である。
同社は、販売店、買取店、整備店、輸入車新車ディーラーの4つの事業部の売上高と売上総利益のほか、KPIとして小売販売台数や買取台数、車検台数、オートオークション販売台数を開示している。
販売店事業では、
小売販売台数=1店舗当たり販売台数*店舗数
1台当たりの売上=販売店売上/小売販売台数
1台当たりの総利益=販売店売上総利益/小売販売台数
と算出している。
小売販売台数は順調に増加している店舗数に比例して成長し、店舗当たりの販売台数も不正疑惑が取りざたされた昨年の週刊誌報道前の水準に戻りつつあるため、順調に推移すると予想している。
1台当たりの売上高は、現在の円安による輸出需要上昇に伴う中古車市場上昇など、中古車市場の動向に影響を受けるため注意が必要だが、過去の傾向から第2、第3四半期と同水準の数値を置いた。
1台当たりの総利益に関しては、前述の週刊誌報道に起因するインセンティブ廃止、そしてこれに伴う中堅社員離脱により、車両とのクロスセルで販売される付属品や金融商品による利益が減少している状況だ。このうち金融商品は回復傾向にあるが、付属品は回復が遅れている。新規社員の育成が完了しても、インセンティブが存在しないため顧客のニーズ以上の商品を販売せず、付属品利益は現在の水準を維持する可能性がある。
また車両単体利益は中古車市場の上昇や在庫管理の最適化等の影響を受け上昇傾向にあるが、大手自動車メーカーの生産計画の上方修正発表に伴い市場に出回る中古車が増加し、中古車価格が落ち着く傾向にあるため、車両単体利益は現在の水準を維持すると予想している。これらの傾向の継続を前提に過去の傾向から数値を置いている。
買取事業、整備店事業においても同様に1台当たり売上高・売上総利益を求めている。
買取事業では、1店舗当たりの販売台数、1台当たり売上高・総利益ともに2024年11月期の上半期と同水準の数値で置いている。また同社では販売できなかった自動車をオートオークションに出品し、その利益が買取事業に含められるため、円安による輸出需要増加やインフレによる新車需要減により活況な中古車市場の動向を注視する必要がある。
整備店事業は売上高が事業全体の5%に満たないため、過去の傾向からそれぞれの数値を決定しモデルを作成した。
輸入車ディーラー事業では、販売台数が開示されていないため、YoYを基にモデルを作成した。静岡を中心に輸入車ディーラー事業を行うエル・シー・エルの買収に伴い、店舗数が約2倍に増加し、大幅な成長に成功したため、第4四半期のYoY成長率を50%と置いている。なお他社の輸入車ディーラー事業では取り扱うブランドの輸入車新車登録台数の合計と売上高に強い相関関係を確認できる場合があるが、同社では確認できない。
以上の予想と会社予想、四季報予想との比較を以下に示す。
われわれの予想では、2024年11月期の売上高、経常利益ともに会社予想を上回りやや強気となった。
今回行った予想では販売店事業、買取店事業の第3、第4四半期における1台当たり総利益が、第1、第2四半期と比べ微増としているが、想定を上回る成長が起これば当然ながら会社予想や四季報予想を大きく超えていく可能性がある。投資判断を下す際には、各事業部門の販売台数に大きな影響を与える年間休日数なども踏まえた上で慎重に判断する必要があるだろう。
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