ケース2:「早期退職」を検討するなら、税制優遇に焦点
・55歳
・会社員
・大学卒業後に勤務していた企業を近々、早期退職したいと思っている方(フルタイムで働く会社員の妻との二人暮らし)
〈理由〉iDeCo掛金は所得税・住民税が非課税
退職すると、翌年の住民税が思った以上に負担感が大きくなる。それに備えるため、会社員時代は所得税・住民税を軽減できるiDeCoを最大限活用。
〈受給可能年齢〉63歳(60歳までの期間が4年数カ月のため)
〈加入可能期間〉60歳まで(妻の扶養に入る予定のため=国民年金の第3号被保険者期間は60歳未満)
〈拠出限度額〉月額2.3万円(他の企業年金制度がないため)
このケースでは早期退職時に退職金が2000万円(早期割り増し含む)支払われる見込みのため、会社員時代の退職所得控除は使い切ります。
iDeCoで4年数カ月分、つみたてた資産は一時金で受け取っても(相当のハイリスク運用をしても)おそらく課税対象にはなりません(2.3万円を50カ月拠出すると元金115万円。iDeCo加入者の間の退職所得控除額は5年分の200万円)。公的年金等控除の金額が増える65歳以降に受給してもいいでしょう。拠出できる期間が短いため、金額的な積み上がりが大きくはありませんが、税制優遇に着目した活用方法です。
ケース3:「60歳以降」も会社員として働く場合は早めのiDeCo
・57歳
・会社員(確定給付企業年金と企業型DCの加入者)
・確定給付企業年金の掛金相当額は1.2万円
・企業型DCの事業主掛金は2万円
・企業型DCの資格喪失年齢は60歳
・現在2万円のマッチング(加入者掛金)拠出を実施
・12月の法改正に注目してiDeCo加入者に。
〈理由〉従来のiDeCoは月額1.2万円が拠出限度額。法改正により月額2万円に増えるので、マッチング拠出と同額までiDeCoへの拠出が可能になる。60歳以降を考えて早めにiDeCoをスタート
〈受給可能年齢〉60歳(このケースでは企業型DCに42歳から加入しているため)
〈加入可能期間〉65歳まで(再雇用で65歳まで働く前提)
〈拠出限度額〉月額2万円(2024年12月以降)、60歳以降は2.3万円拠出可能
定年退職後のライフプランを考えるうえで、DC以外の退職金の使い方や公的年金の受け取り方を試算した結果、企業型DCの資産は将来的にiDeCoに移換し、余裕資金とする予定です。
運用商品は、リスクを抑えたバランス型投資信託を選択します。60歳を超えて企業型DCの運用指図者になった後は、企業型DCの運営管理手数料が本人負担のため、タイミングをみてiDeCoに資産移換します。