「元本を保全したい」

投資や資産運用をする目的は、お金を増やすことであろう。もちろん投資にはリスクはつきものである。しかしなるべく投資した元手をなくしたくない、つまり元本を保全したいというのは至極自然な要求だ。

例えばヨーロッパの富裕層は代々資産を守るということに重点を置いており、資産運用においては元本保全を最重視するという。もちろんインフレに負けないために銀行預金や国債だけ買うというわけにいかず、元本を保全しながら十分なリターンを得る「絶対収益(Absolute Return)」型投資への要求からヘッジファンドやプライベートエクイティなどの「オルタナティブ投資」が発展した。

しかし金利のない世界が続いた日本では、この元本保全という投資の原点的な発想が今や忘れ去られたか、もしくは無視されてしまっているようだ。その背景は三つあると思う。