義母と長女と孫との同居

義母を引き取った2018年4月、61歳の片岡さんは、週4日、教育系の会社でパートとして働いていた。

「私は身内でも距離感は大切だと思っていたので、『ここまでは出来ます。ここからはできません』という線引きをしました。具体的には、『自分でトイレに行けること』『私は仕事を辞めない』この2つを、何度も義母に確認していました」

要介護2で足の悪い義母の万が一の時のために、車椅子は予めレンタルしておいた。まずはデイサービスを週2で利用し始め、慣れてきたら週3に増やした。入浴は片岡さんが手伝っていたが、腰を痛めてしまい、デイサービスで入れてもらうことにした。

「私が65歳のとき、坐骨神経痛を患ってしまったのですが、同じ頃、義母が足に入れていた人工関節が外れていたことがわかり、入院して手術することになりました。私は痛みを我慢して義母の入院準備をしていたのですが、夫が私のちょっとしたミスをしつこく責め続けた時は、怒り心頭でした」

片岡さんが「うるさい! それにしつこい! 大体誰の親よ? ストレッチャー押してあちこち検査に行くのも大変だし、私は足が痛いし疲れてるしで頭の半分も働いてないんよ? なんでそんな偉そうなん? もういい加減にしてよっ!」と一気に捲し立てると、さすがに夫は反省した様子だった。

ところがその3年後のこと。車で10分のところに住む長女と小学生の息子が、片岡さんの家で同居することになった。その理由は、小学生の息子が担任教師からの陰湿ないじめに遭い、心身症と診断。さらに、息子に対して真摯な対応をしてくれない学校側との対応に疲れ、長女自身もうつ病を発症してしまい、息子の主治医から片岡さんの家での療養を勧められたためだ。

「義母介護と、がんになった私の母の通い介護が重なっていた時期と、うつ病長女と心身症孫が我が家で療養していた1年間は、時間的、精神的に本当に大変でした……」

基本、義母がデイサービスに行っている間に仕事をするか、実母のサポートをしに行っていた。うつ病が重かった長女は、ほとんど家事ができない。1週間のうち何日かは、仕事の後に義母の通院付き添いや、義母の通院を2科こなさねばならない日もあった。