メキシコへ2000億円超を投資 しかしトランプ氏は高関税を示唆
トヨタ自動車はメキシコへの投資を増やす計画です。しかしトランプ氏がアメリカ大統領選を制したことで、影響を懸念する声も聞かれます。
メキシコ経済省は2024年11月、トヨタ自動車のメキシコ法人が同国へ14億5000万ドル(1ドル=150円で2175億円)を投資することについて通知を受けたと明かしました。投資は北米向けのピックアップトラック「タコマ」の生産工場に使われます。
トヨタ自動車は2002年にメキシコへ進出し、これまで約20億ドルを投じてきました。今回の投資で、投資額の累計は34億5000万ドル(同5175億円)となります。
メキシコへの投資は、アメリカ向け輸出車の増産を見込んでいると考えられます。しかし2025年に新大統領になることが確実視されるトランプ氏は、メキシコからの輸入車に高い関税を課すことを示唆します。
トランプ氏はこれまで、メキシコで生産された中国の自動車が多く流入していると指摘してきました。海外で生産されるため、雇用がアメリカで生まれないという主張です。
トランプ氏は前回の大統領時代も中国製品に高い関税を課した経緯があります。中国側も報復関税で対抗したため、米中貿易摩擦と呼ばれました。
かつてアメリカの輸入相手国の1位は中国でしたが、現在はメキシコが首位です。2018年に2割を超えていたアメリカの輸入に占める中国の割合は、2024年1~6月は12%台にまで低下しています※。
※出所:ジェトロ 米中関係から見る貿易構造の変化(米国、中国、世界)
トランプ氏の関税を巡る政策は、対中国を念頭に置いていると考えられます。しかしアメリカへの輸出が多い日本の自動車メーカーも影響を受ける可能性があります。当面はトランプ氏の関税政策に注目が集まりそうです。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)