AIブームから株式市場では半導体関連の銘柄が話題です。製造装置の東京エレクトロンやディスコなどがテーマの代表格ですが、検査装置を手掛けるアドバンテストにも資金が集まっています。アドバンテストの株価は2024年7月5日までの5年間で6倍に上昇しました。
【アドバンテストの業績】
売上高 | 純利益 | |
2023年3月期 | 5602億円 | 1304億円 |
2024年3月期 | 4865億円 | 623億円 |
2025年3月期(予想) | 5250億円 | 670億円 |
※2025年3月期(予想)は2024年3月期時点における同社の予想
アドバンテストは資本収益性と市場評価の高さが認められ「JPXプライム150指数」に選ばれています。同指数は「価値創造が推定される我が国を代表する企業で構成される指数」をコンセプトに2023年7月から算出が開始されました。
アドバンテストにはどのような魅力があるのでしょうか。同社の事業内容から探ってみましょう。また悪化した前期(2024年3月期)の業績と今期の見通しも紹介します。
半導体向けテスト装置で高シェア 株式市場はPBR 11倍の好評価
アドバンテストは半導体検査装置の大手です。半導体デバイスは製造過程でテストを繰り返しますが、アドバンテストはそのテスト装置を製造・販売しています。
アドバンテストには3つの事業セグメントがあります。中核は「半導体・部品テストシステム事業部門」で、メモリ半導体用テスト装置と非メモリ半導体向けのテスト装置であるSoC半導体用テスト装置で主に構成されています。アドバンテストのシェアは高く、いずれも世界市場の過半を握っているとみられます。
【アドバンテストの世界市場シェア】
・メモリテスタ:56%
・SoCテスタ:59%
※市場規模:メモリテスタ11億ドル、SoCテスタ33億ドル
「メカトロニクス関連事業」はテスト装置の周辺機器とナノテクノロジー関連製品で構成されます。テスト装置の周辺機器は半導体デバイスの搬送や仕分けなどを担うテスト・ハンドラなど、ナノテクノロジー関連製品には走査型電子顕微鏡を応用した測定装置などがあります。
「サービス他部門」は、上記2事業に関連した総合的なサービスを行う事業です。装置の保守サービスや消耗品の販売、装置リース事業などで構成されています。
【セグメント業績(2024年3月期)】
売上高 | セグメント利益 | |
半導体・部品テストシステム | 3315億円 | 919億円 |
メカトロニクス | 527億円 | 92億円 |
サービス他 | 1023億円 | -28億円 |
※サービス他にはのれんの減損損失90億円および受取和解金等の利益32億円を含む
アドバンテストは大きく成長してきた企業です。売上高は2024年3月期までの10期で4.3倍に増加しました。これは毎年15.8%ずつ成長したことになります。2023年3月期は売上高、純利益とも過去最高を記録しました。
強く成長したアドバンテストは株式市場で高い評価を集めています。足元でPBRは11倍、PERは73倍に達しています。高いバリュエーションから、投資家は今後も高成長が続くと期待しているようです。
【アドバンテストのPBRとPER(2024年7月5日終値)】
・株価:6631円
・PBR(実績):11.36倍
・PER(予想):73.08倍
※PBRは2024年3月期実績(株主持分ベース:4312億円)、PERは2025年3月期予想(純利益ベース:670億円)
※1株あたりの株主持分および純利益は発行済株式7億6614万1256株から自己株式2772万9600株を控除して算出