前期は大躍進、営業益は日本企業で初の5兆円台 今期は投資拡大で減益

次にトヨタ自動車の業績を確認しましょう。

2024年3月期は大幅な増収増益となりました。好調の主因は販売台数の増加と価格改定です。また円安が進んだことも利益を押し上げました。営業収益と営業利益、純利益はいずれも過去最高を更新。営業利益は、日本企業で初めて5兆円を突破しました。

出所:トヨタ自動車 有価証券報告書より著者作成

ただし、今期(2025年3月期)は大幅の減益を予想します。利益は前期比で2~3割の減少を見込みます。減益は前期の市場環境の好調がはく落すること、また人的投資と成長投資を拡大することが主な原因です。

進捗はどうでしょうか。第2四半期までの進捗率は営業収益で50.6%、営業利益で57.3%、純利益で53.4%となりました。生産停止や日野自動車のエンジン認証問題といった一時的な要因もありながら、コスト改善や為替による増益効果もあり、おおむね順調な消化となりました。

なお、中間決算では投資額の引き上げも発表されました。従来は人的投資と成長投資で7000億円を投じる計画でした。これに1300億円を追加し、計8300億円を今期に投じます。

投資を積み増したことで費用は増加することが見込まれます。しかし通期の業績予想は、税引き前利益を除き据え置かれました。費用の増加分を、生産の回復とインセンティブの抑制、また補給や用品を中心としたバリューチェーン収益の拡大でカバーすることを目指します。

【トヨタ自動車の業績予想(2025年3月期)】
・営業収益:46兆円(+2.0%)
・営業利益:4兆3000億円(-19.7%)
・税引き前利益:4兆9800億円(-28.5%)
・純利益:3兆5700億円(-27.8%)
※()は前期比
※同第2四半期時点における同社の予想

出所:トヨタ自動車 決算短信