いくら必要か、いくらもらえるのかを調べよう

確かに、老後資金の目安額は「2000万円」だとも考えられますが、ここはいったん冷静に考える必要があります。なぜなら2000万円はあくまでも「平均額」であり、「誰にでも当てはまる金額ではない」ではないからです。

そうはいっても、老後資金に対する不安を拭い切れない方は多いと思います。このような漠然とした不安を解消するためには、自分自身の老後資金を計算してみることが解決策になることもあります。

そこで、老後資金の計算方法をご紹介したいと思います。

老後の期間を30年と仮定した場合に、65歳までに準備しておきたい目安額は、30年間の支出総額(1とします)から30年間の収入総額(2とします)を引いた額になります。

支出と収入、それぞれの主な項目は以下の通りとなります。

1 30年間の支出総額

・老後の年間生活費(退職前の年間生活費の約7割が目安)×30年間
・一時的支出
 ――住宅のメンテナンス費、車や家電の買い替え、旅行代、医療・介護費用
 (ひとり500~600万円くらいが目安)

2 30年間の収入総額

・公的年金(日本年金機構の「ねんきんネット」で試算可能)
・私的年金
・企業年金
・退職金 など

これを基に、一般的な夫婦世帯のケースで試算してみます。

1 支出総額   生活費年間360万円(毎月30万円)×30年間=1億800万円・・・A   一時的支出 1200万円・・・B   A+B=1億2000万円 2 収入総額   公的年金年間240万円(毎月20万円)×30年間=7200万円・・・C   私的年金500万円・・・D   退職金1500万円・・・E   C+D+E=9200万円 65歳までに準備したい金額   1-2=2800万円

実際に計算してみると、老後資金が算出できるだけではなく、計算の過程では自分が将来受け取る公的年金や退職金の額を調べる必要性もあるため、それぞれの制度についての理解を深めることもできます。特に定年に近づく40代後半から50代の方には、ぜひこの式を使って老後資金を計算してもらいたいと思います。

また、定年がまだ先である年代の方は、具体的な老後資金が出せないまでも、自分が受け取る年金がどれくらいあるのか、勤務先の退職金制度はどのようなものなのかについて、関心を持つ良い機会になります。