税制優遇のあるiDeCo・つみたてNISAで老後資金作りを

女性が老後まで自分らしい人生を送るためには、仕事を長期的に続けることに加え、早い時期から計画的に老後に向けてお金を貯めていくことが大切でしょう。

そこで、老後のお金をどう準備していくかが問題になるわけですが、老後の自分年金づくりの主な手段としては、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」と「つみたてNISA」が挙げられます。どちらも運用益が非課税となり、一般の方が節税しながら安定的に資産を増やしていける可能性がある有効な手段です。ここでは、詳細な制度の説明は割愛しますが、iDeCoとつみたてNISAの特徴を見ていきたいと思います。

iDeCo(個人型確定拠出年金)は私的年金の一種で、ザックリいうと公的年金の上乗せ制度で、2017年から現役世代のほぼ全員が加入できるようになっています。

iDeCoは、他の制度よりもずば抜けて「税制優遇」があり、「掛金の拠出時」「運用中」「受け取り時」の3つの場面で税制優遇があります。中でも、他の制度にない税制優遇のポイントが、掛け金が全額所得控除できるところです。それにより、その年に支払う所得税や翌年の住民税を安くすることができます。

例えば、課税所得が300万円程度(所得税率10%)の企業年金がない会社員の方がiDeCoに加入し、毎月20000円を拠出した場合、年間の掛け金の合計金額は24万円になります。掛け金を全額所得控除できることにより、所得税は約2万4000円節税になりますし、住民税(一律10%)と合わせると4万8000円も節税になります。

iDeCoは、このように税制優遇のメリットを享受しながら自分年金を準備できる優れた制度なのですが、不便な点もあります。それは、iDeCoで積み立てたお金は基本的に60歳まで引き出すことができないところです。

長い人生の間には途中でお金を引き出したいと思う場面もあるかもしれません。そこで、iDeCoと併用して活用したいのが、2018年1月からスタートした「つみたてNISA」です。

つみたてNISAは、NISAと同じく、投資で得られた利益に対する税金を非課税にできる制度です。毎年の非課税投資枠は40万円、非課税期間は最長20年間です。つみたてNISAで買える金融商品は、金融庁が定めた一定の基準を満たした投資信託・ETFです。もちろん、基準を満たした金融商品がすべて値上がりするとは限りません。しかし、明らかに初心者に不向きなものや積み立て投資に適さないものは除かれるので、投資先を選びやすくなります。

iDeCoは、掛け金の属性により掛け金の上限金額が違いますが、仮に企業年金のない会社員の方の場合、iDeCoの年間投資上限額は27万6000円です。また、つみたてNISAの年間投資上限額は、誰でも一律40万円ですから、iDeCo、つみたてNISA合わせて最大で67万6000円(月額約5万6300円)になります。iDeCoは、所得控除による節税メリットがありますので、投資上限額まで利用し、その上で、月々投資に回せる金額の残りをつみたてNISAで投資するとよいでしょう。

iDeCoもつみたてNISAも、基本的に投資信託を毎月コツコツ積み立てて資産を増やして行くのが基本です。金融庁のデータによると、国内・先進国・新興国の株、債券に分散投資をした場合の年平均利回りは、4%程度とのこと。仮に毎月5万円を20年間普通預金に積立をした場合、1200万円ですが、毎月5万円を20年間4%の利回りで運用することができれば、約1830万円になります。

iDeCoやつみたてNISAを活用すれば、運用益は非課税なので、この金額をそのまま老後資金に使うことができますし、iDeCoの場合には、所得控除による節税のメリットもありますので、その分を加味すると、実質準備できるお金はもっと増えています。iDeCoやつみたてNISAを早い時期から始めることで老後の基本的なお金は準備することができるでしょう。