「2024年問題」の影響やいかに?
2024年4月から建設業や物流業などで、時間外労働の上限規制が始まりました。いわゆる「2024年問題」で懸念されているのが、さらなる人手不足です。
人手不足により経営が立ちいかなくなり、倒産を余儀なくされるケース、通称“人手不足倒産”は、急速に数を増やしています。新聞やテレビ報道などでも定期的に報じられている、日本経済を揺るがす重大な問題の一つです。2024年問題により、その傾向にさらに拍車がかかる恐れがあります。
では、中小企業は「2024年問題」により、実際にどのような影響を受けているのでしょうか。同調査では、意外な結果が。なんと約半数(49.1%)が「特に影響はない」と回答しています。
その一方で、「人手不足がより深刻化した」という回答も24.0%ありました。4社に1社が深刻化を実感している計算です。
さらに「売上・利益が減少した」(20.5%)と「離職率が高くなった」(1.2%)も合わせると、約5割に及びます。
先に触れたように、現時点では人手不足を問題だと感じていない企業は少なくないようです。しかし、人手不足により、売上・利益が減少。さらに業績悪化が悪化し、それに伴い離職率が増加。けれど何も打つ手がない。どんどんと人手が減っていき“人手不足倒産”へ……。
気が付けば、そんな負の連鎖に入り込んでしまうかも。こと人手不足に関しては、課題解決を先送りにせず、早めに手を打つことが大切なのかもしれません。
421万ある日本企業の99.7%を占めるのが、中小企業です。中小企業の元気がなくなれば、日本経済が成り立たなくなるといっても過言ではありません。その意味では中小企業の「人手不足」は日本経済における「喫緊の課題」と言えます。
少子高齢化の影響もあり、労働力の中心を担う15歳から64歳の「生産年齢人口」は減少の一途をたどっています。労働者の母数が減っていっているわけですから、何も対策を打たなければ、人手不足の問題は年々深刻になっていくことは論を待たないでしょう。
「人手不足」という課題を正しく認識し、経営陣は社員を引き付けるような新たな魅力の創出、働きやすい体制を整えによる社員の定着率を高める、外国人やシニア人材の活用を進める。労働者の側も、たとえば、さまざまな活用方法が期待される生成AIを業務に導入し業務効率化を図り少ない人数でも適切に業務が回る体制を構築する。このような抜本的な人手不足対策が求められているのではないでしょうか。
《調査概要》 中小企業の人手不足への対応 調査期間:2024年7月8日〜2024年8月9日 調査対象:全国の中小企業経営者 有効回答数:851人