2024年10月からパートやアルバイトで働く人たちへ社会保険の適用が従業員数51人以上の企業に拡大されます。扶養はとても複雑な制度のため、年収と保障のバランスに悩まれている方も多いでしょう。

この機会に「扶養の壁」の理解を深めるのはいかがでしょうか。ファイナンシャルプランナーの塚越菜々子氏に年収が上がるごとに、どのようなメリットとデメリットがあるのかを解説してもらいます。(全3回の2回目)

●第1回:10月から社会保険適用が拡大! 加入が義務の「106万円の壁」を解説

※本稿は、塚越菜々子著『「扶養の壁」に悩む人が働き損にならないための38のヒント』(東京ニュース通信社)の一部を抜粋・再編集したものです。

「106万円の壁」を越えたらどうなる?

「106万円の壁」を越えた場合、妻は勤務先によっては社会保険に加入することになります。

その場合、夫の社会保険の扶養からは外れます。そして、妻の収入に応じて、社会保険料や税金がかかるようになります。

例えば、年収107万円のケースだと年間の負担額は16万円以上に。壁を越えたので、社会保険料の支払いが発生し、手取りは89万円ほどに減り、「働き損」な状況になります。

しかし、社会保険に加入することはマイナスばかりではなく、プラスの面もあります。毎月の社会保険料を勤務先に半分負担してもらいつつ、健康保険と厚生年金の恩恵を受けられるのが一番の利点です。

健康保険は傷病手当金の制度があり、病気やケガで仕事を休んだ場合に手厚い保障を受けられます。厚生年金は将来受け取る年金額が増えて、万が一の際の遺族年金や障害年金も同様です。

国民健康保険・国民年金と比べて保障内容が格段に充実するのです。

目先の損得だけで考えると、壁を越えるのをためらうかもしれません。でも、106万円の壁の場合、いざというときや長い目で見て、保障の上乗せを得られます。保障を増やしたうえで、手取りを減らさないですむボーダーラインを計算してみるのもよいでしょう。