3. 奨学金という手段
あまり大きな声では言えないが、奨学金の使い道は学費や生活費だけではない。奨学金の本来の使い道は学費や生活費の“補助”である。
しかし、私の周りを含め、近年の学生は奨学金を他の使い方で活用している。その代表例が投資である。奨学金は一度にまとまった金額を受け取るのではなく、毎月に分けて受け取るため、個別株でキャピタルゲインを得ることには不向きであるが、積立投資には有効な手段となる。
投資で奨学金を増やしてしまえば、奨学金を借りたのにも関わらず、実質お金をもらったことになる。
もちろん、奨学金のこのような活用は本来の趣旨とずれているため、万が一バレた時のことを考えると私はおすすめしない。
自分自身の選択に責任を持つ
日本の奨学金制度には、まだ多くの課題が残されている。貸与型奨学金が主流であり、学生が卒業後に多額の負債を抱えることになる点は、将来的なキャリア選択に大きな制約を与えている。
さらに、奨学金の審査基準が厳しく、成績維持を求められる現行の制度は、アルバイトとの両立が困難な学生にとって大きな負担となっている。情報の不透明さも、学生にとって不安を増幅させる要因だ。
しかし、実際に奨学金を借りている身からすると、メディアなどで取り上げられるほどこの問題は大きくない。成績維持は学生にとって当たり前のことであり、周りの非奨学生がたいして勉強していないことを不平等だと感じているのであれば、それは間違っている。大学進学も奨学金の利用も、人生において必ずしなければならないことではない。それでも、その選択をしたのは私たち奨学生自身なのだから、自分の行動に責任も持たなければならない。
執筆/学生投資連合USIC 武藤藍星